きみを撃ち抜く言葉は何?
秋色
序
「きみを撃ち抜く言葉は何? 一体何なんだろうな」
それは私に誕生石のダイアモンドの指輪をくれた人の言葉。彼と私は結婚し、そして長い年月の後のある日、ついに彼は私の心を撃ち抜く言葉を考えつく事を諦め、大きな家の中で別室で過ごすようになった。
でも今、私は自分の心を撃ち抜く言葉を知っている。そしてそれと共に破滅が訪れる事も。
私の家は、祖父の代に開業した小さな病院が父の代で、医療法人となった名家だ。あとを継いで医師になった弟達と共にこの地方では、一目置かれる存在という事を認識しながら私は成長していった。
そして今は、弟達と夫は医療法人の経営する病院、クリニックの院長、副院長であり、私は療養施設の施設長を任されている。海岸に近い風光明媚な土地にあるこの療養施設で。
生活は一見平穏だ。周囲から見ると、私はとても幸せな人生をおくっているように見えているだろう。でもそれは間違いだ。いつも心のどこかで似合わない服を着ている感じが私にはあったから。
特にある日、一人の女性が入所してきてからは、その存在が私の悪夢の始まりとなっていた。
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