私の一部だけが異世界に逝っちゃった ~ Piece&Peace ~

魔万寿

チュートリアル

現実ターン〔1〕

33歳の夏、俺の肺がなくなった……



・・・


「肺灰さ~ん……」

「白~……」

「ラング~……」


女の子の声?……


俺が呼ばれているのか……


とても大切な存在のような気がする……


助けないと!!


・・・はっ!

目が覚めると、そこは見知らぬ白い天井……

横には点滴のスタンド……


ベッドの上か……

さっきのは……夢?


起き上がろうとしてるけど……

体が動かない……


ガチャ…

ドアが開く音、白い服の女性……


「目が覚めましたかぁ?

まだ麻酔が効いてますねぇ……

手術は無事に成功しましたよぉ」


思い出した!

肺の摘出手術の後か……


残念……

もし死んだら異世界転生したかったな~……


ガチャ…

男の人……

あっ手術をしてくれた教授だ。


「右の肺の下だけ切除しましたよ

傷も最小限に抑えることができたのですが…… 」


さすが、教授です。


「切除した肺が…」


なぜ困った顔をしている?


「突然!魔方陣のようなものがブワッと現れて、

ピカッとなって、シュッと消えました…… 」


教授らしからぬ表現の連呼……

ちょっ待ってよ!

俺の肺の一部だけ異世界転生しちゃった!?


その後……

俺の肺が繰り広げる異世界ファンタジーが、

現実の俺にも影響を与えることになるとは……


続く……

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