第154話 試練。
月のない夜。代わりに魔力照明で煌々と照らされた王城の外壁前の広場。
すでに人々のざわめきはおさまっていた。【魔王】との戦いにおける自らの罪と心に負った深い傷を赤裸々にさらけだしたステアのおかげで。
だが、心から認められたわけではない。ふたたび最前列に立った【
――けど、否定じゃない。
ステアが、僕たちの友だちがゼロにかぎりなく近かったこの状況にその【可能性】をつくってくれた。だから、あとは。
『はじめまして。今日、この月のない夜にこの式典に集まってくれた王国民のみなさん。僕はノエル・レイス。オルドライト王陛下に認められし、この王国の建国以来となる【闇】の聖剣に選ばれし勇者』
「っひ!?」
「なんだ!?」
「な、なに……!? こ、『声』が耳もとで……!?」
あえて拡声魔力器を使わずに魔力を含んだ『声』で人々に語りかけると、ふたたびざわざわと騒ぎはじめた。
――そのあいだに準備をすませる。
『なんていってもさ。突然でてきたポッと出の、それもあなたたちのいうところの【闇】属性なんかにそんなこといわれたって、とても信じられないよね? だからさ、あなたたちにも見せてあげるよ』
「え……!? な、なにあれ……!? み、見て……!? つ、【月】が……!?」
「我は刻み、我は顕す!
高く、高く上っていく。
月のない夜に、ディシーがつくりだした青く輝く【月】が。
『【闇】の勇者パーティーとしての僕たちの力を。【死霊魔王】を討ち倒した【闇】属性の僕たちだからこそ、紡げた【光】を』
「英霊よ……! 私に力を……!」
夜の闇の中、ニーベリージュがその全身にゆらめく青い霊火をまとう。
「あ、あれが【血染め】……!? きょ、恐怖卿か……!?」
「な、なに……? あ、あの青い【火】……!? こ、こわい……! け、けど……! なんだか……」
「きれい……」
「さあ……! 私につづけ! ともに王国を、民を愛し、己が命を賭して守る勇壮なる騎士たちよ! 兵士たちよ!」
「「「応!」」」
ニーベリージュが
「【
「「「はああっ!」」」
「「「おあああっ!」」」
そして、虚空に色とりどりの属性の魔力が放たれ、僕たち【
人々の希望。【英雄】になるための
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