第82話 【黎明の陽(デイブレイク)】。
『【リライゼン】にお住まい、ご滞在のみなさま! 緊急のお知らせです!』
独り【
魔力消費が大きすぎるから、めったに使われることはない街中の各所に置かれた大型の拡声魔力器。それがいっせいに稼働し、その女性の声を伝える。
『
そこで一度、女性が話すのをやめ、呼吸を整えるのが漏れ聞こえた。そして、再開したとき、その声は明確に上ずって聞こえてきた。
『ですが! みなさま、朗報です! 王都はすでに予言や遠視によりこの事態をつかみ、動いていらっしゃいました! そして早急に事態を打開し、発生源の【死霊魔王】〝玩弄〟のネクロディギスを討伐すべく、あの方々の――【獣魔王】〝蹂躙〟のザラオティガを討伐した我らが英雄、この度正式にその名を定められました【光】の勇者パーティー! その名も【
……なんだって?
「おお! 【光】の勇者が……!」
「【
『みなさま! 必ずや我らが【
冒険者ギルド中の人間がいっせいに立ち上がり、そして――街そのものが揺れた。
「「「我らが英雄【
「「「我らが英雄【
「「「我らが英雄【
ギルドの中。さっき【闇】属性の孤高の【英雄】ニーべリージュをせせら笑ったのと同じ声で、本心から冒険者たちが【
その熱狂と対照的に、僕の心は底冷えするほどに冷えていった。
……行かなくちゃ。あの男が、勇者ブレンが来るなら、その前に【死霊魔王】に到達して、僕が……!
「ね、ねえ……! ノエルくん……!」
そう決意を固める中、僕の背中にフェアさんの声がかかる――どこか切羽つまったような、声が。
♦♦♦♦♦
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