第9話 殿(しんがり)。
魔法植物特有の自己再生力。
ただでさえ厄介なそれが、この濃厚な魔力に満たされた【妖樹の森】の中では数十倍に跳ね上がってしまう。
ある意味では、この【妖樹の森】であの【
さて、どうしよう?
いまはまだこの大木の上にいる僕には気づかれてないみたいだけど、この場から離脱しようとしたら、当然【
かといってじゃあ【
でも、僕がそれをするためには残念ながら条件が、この場合は
まあでも、たぶん心配ないかな?
だって、次にあの【
「「ひ、ひぃっ! く、来るなっ! 化け物ぉっ!」」
半ば恐慌状態になりながら、【
『ギュィィィィィィ……!』
「「ひ、ひぃあっ!?」」
だが、数が減った端から【
「
『ギュィ……!?』
だが、
「た、助かったっす……! ブ、ブッフォンさん……! も、もうこれ以上は……!」
「ブフォォォォォッ……! やむを得ん! 我が友たちよ! 遺憾ながら撤退だ! 撤退するぞ!」
ああ。やっぱりこうなったか。
でも、判断としては決して悪くない。
問題があるとすれば、見たところ【
どうせいずれはこの木の上から脱出しなきゃならないし、いくら僕が仲間だと信じていた【光】の勇者パーティーに裏切られたばかりだとはいえ、さすがに目の前で危機に陥っているひとたちを見殺しにするような気にはなれない。
僕ひとりなら、あとからでもあんな【
……だが、そんな僕の考えは次のブッフォンのひとことで根底から覆されることになる。
「ブフォッフォッフォ! おい! 聞け! 犬ッコロ! 我輩たちはいまから名誉ある撤退をはかるからな! お前が残ってその時間を稼ぐんだ! 死ぬ気でだ! いいな! 拾ってやった恩に報いろ! 猟犬としての役目を果たせ!」
……お前。いま、なんていった?
そのとき。僕の中でふたたびなにかがズクリと軋んだ。
いままでで一番、はっきりと。
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