いつものコンビニに行ったら、店員が久しぶりに逢う同級生だった
闇野ゆかい
第1話油に火を注いでしまった
「ただいまぁー......って、まただよぉ。部活に勤しんでる私を差し置いて、兄貴はソファーでぐでぇ~とテレビ観ながらポテチですかぁ~っ!」
「うえっ......今日はやけに帰ってくんの早くない、ですか......?」
ソファーで寝そべる俺の頭上から呆れたため息と共に愚痴が聞こえ、声がした方に視線を向けると、鋭い眼光で妹が見下ろしていた。
「はあ~ぁっっ!早く帰ってきちゃダメなの?兄貴は暇そうで羨ましいよっ!」
やっやば......ヤバい。
余計に怒らせてしまった......今朝は不機嫌ではなかったのに。
「ごっごめん、愛梨沙。ごめんって......食べたい
「......んが。漫画......二冊、がいい」
ふてくされた声で俯きながら、ボソッと返した妹。
「漫画......俺だけじゃ愛梨沙の欲しい漫画分かんないからさぁ、土曜日に一緒にっていうのはどう?」
「......どよ、うび。う、うん......わかった。あ、アイス......買ってきて。いつもの」
階段を上がろうとして、振り返った妹が遠慮がちな声量でしおらしくアイスをねだってきた。
「ああ、わかった」
出掛ける支度を済ませた俺は、自転車に股がり、コンビニへと向かった。
妹は不機嫌になると、兄貴と呼ぶので分かりやすいといえば分かりやすい。
可愛くないかと訊かれたら、全てをひっくるめて可愛い妹だ、と答える。
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