第58話 閑話 吉野美波&悠木優奈の恋心




「アタシの名前は吉野美波、親友の優奈には「可愛いんだからそんなにツンツンしないで接したら?」と、よく言われるが昔からこんな性格だったからそんな直ぐには変えられるわけないじゃない」


 自分自身でも美波は可愛いと思っている、少し吊り上がった目はしているが顔は整っていてファッションにもとても気を使っている。


 何よりも茶色のポニーテールがトレードマークだ。


 そんな美波だが1つコンプレックスがあると言ったら自分の胸だ、中学生の頃はあまり気にはしていなかったが、親友の優奈の胸が大きくなっていく様を見ていたら自分の何も変わらない胸を見て悲しくなってくる事もあった。


 ただ、今はそんな事は関係無いぐらい気になる事がある。


 それが前田慎二についてだ。


 慎二と美波の出会いは最悪だったのかも知れない、出会い頭「男」と見間違われれば誰だってそうなる、美波にも悪い点はある、昔自分達の事をバカにして来た男と似てるからと言ってキツい態度を取ってしまったのだから。


「でもどうしてかアイツの事を考えちゃう、レクリエーションの時に絶対勝てないと思っていた試合をひっくり返して勝利に持って行った時は少し…その……カッコ良いなと思ったかもしれないけど、けどアイツのいつものアホヅラを見ているとそんな事は無いと思えて来たわ」


 その時はまだ美波自身も自分の変化が気にならなかったが、ある日慎二達が「部活」を作ると言っていたのでどんな感じになっているか「F」クラスの教室を見に行ったら、慎二がいない代わりに3人の美少女達がいた。


 その生徒達は美波が教室に入って来たのが気になったのか話しかけて来た。


 最初は「話しやすい人達だな」と思ったが、慎二の話が出た瞬間美波の頭の中にどうしてか苛々する感情が浮かび、自分で制御が出来なかった。


 そんな時村上が慎二に変な事を言っている言葉が聞こえたのでその場に行って慎二の顔を見たら何故かさらに苛々してしまい暴力を振ってしまった。


 その後は慎二に自己紹介をしてもらって女子だけで話す事になった。


 相手は慎二の中学生の時からの親友だと言う、3人の名前は神田雪、佐藤愛香、今井穂花と言うらしい、ただその後の言葉に美波の心は揺れ動く事になる。


『私達は全員慎二の事が「好き」……貴方達も一緒なんじゃないの?』


 その言葉を神田雪が美波達に投げかけた時、直ぐに「そんなわけない!」と反論したかったがそんな事は出来ず、逆にその言葉がすんなり心の中に入っていき今まで奥底にあった痼りの様な物が無くなった気がした。


 その時美波は気付いてしまった「ああ、アタシはアイツが、前田慎二の事が好きなのだと」、その後は簡単だった。


 気持ちがわかってしまえば何で今まで訳も分からずに暴力を振ってしまったのかようやくわかった。


『やっぱり貴方達も慎二の事が好きだったんだね、でも私達だってこの気持ちは変わらない、だから勝負をしない?』


『勝負?どんな事をするの?』


 神田雪の言葉に優奈が気になったのか聴いてくれた。


『内容は簡単、慎二が私達の誰かに告白して来たら恨みっこ無し、慎二はかなりの鈍感とみた、でもそんな奴に自分から告白なんてすると負けた気がするでしょ?だから自分をアピールするのは良いけど、告白をするのは慎二にしてもらう!』


 その言葉に皆は賛成した。


『私達は同じ男を好きになった、いわばライバル同士、でも今からは友達同士、これから慎二争奪戦を行おう!』


 皆して『おおー!』と掛け声を上げた。


 その後は親交を深める為に美味しい喫茶店などに行って帰路に着いた。


 自分の家に着き、部屋で人心地着くと美波は一人呟いた。


「そっか、アタシも優奈も「慎二」の事が好きだったのか〜ライバル沢山いそうね、でも負けてられないわ!」


 美波は今までの想いをぶつける様に明日から慎二に積極的に話しかけようと心掛けた。


「待ってなさいよ慎二?明日から攻めて攻めまくってアタシの事を絶対好きにさせてやるんだから!」


 その時、1人の恋する乙女が誕生した瞬間だった。





「私の名前は悠木優奈、親友の美波ちゃんには「可愛い」とよく言われる、それはありがたいけど何よりも嬉しいのが自分の自慢の髪を褒めてもらう事だ」


 自分自身で可愛いと言うとブリッコ?と思われてしまうから優奈は言わないように心掛けている。


 そんな優奈だが1つコンプレックスがあると言ったら自分の胸だ。


 中学生の頃はあまり気にはしていなかったが、親友の美波ちゃんに段々と大きくなってくる胸を見られて「少し頂戴」と言われる事も良くあった。


「私が桜田高校の「F」クラスに入ったのもこの胸のせいだ、胸が大きくなって行くにつれて男子からは変な目で見られ、女子からは嫉妬の対象にされてやっかみを受けることもあった。その時は美波ちゃんが助けてくれたけど、もうあんな気持ちは嫌だからわざと名前を書かないで最初の学力テストに出た、「F」クラスだったら男子生徒しかいないと聞いたからまだましかと思ったからなんだよね」


 ただ、今はそんな事は関係無いぐらい気になる事がある、それが前田慎二についてだ。


 慎二と優奈の出会いは特に何も無かった、何かあるとしたら自分の親友の美波とウマが合わないという事ぐらいだった。


 優奈自身も最初はただのクラスメイトとして接していた。


「でもどうしてか前田君の事を考えちゃう、レクリエーションの時に絶対勝てないと思っていた試合をひっくり返して勝利に持って行った時は少し、カッコ良いなと思ったかもしれないけど、けど、隣で見ていた美波ちゃんの恋する乙女の様な表情を見た時は「ああ、邪魔しちゃ悪いな」と思ったけど……私の気持ちがその時から少し不安定でおかしかったの」


 その時はまだ優奈自身も自分の変化がわからなかった。


 だが、ある日慎二達が「部活」を作ると言っていたのでどんな感じになっているか「F」クラスの教室を見に行ったら、慎二がいない代わりに3人の美少女達がいた。


 その生徒達は優奈達が教室に入って来たのが気になったのか話しかけて来た。


 最初はいい人達だなと思ったが、慎二の話が出た瞬間、優奈の頭の中にどうしてか苛々する感情が浮かび自分で制御出来なかった。


 そんな時村上が慎二に変な事を言っている言葉が聞こえたのでその場に行って慎二の顔を見たら、何故かさらに苛々してしまい暴力を振ってしまった。


 その後は慎二に自己紹介をしてもらって女子だけで話す事になった。


 相手は慎二の中学生の時からの親友だと言う、3人の名前は神田雪、佐藤愛香、今井穂花と言うらしい、ただその後の言葉に優奈の心は揺れ動く事になる。


『私達は全員慎二の事が「好き」貴方達も一緒なんじゃないの?』


 その言葉を神田雪が優奈達に投げかけた時直ぐに「そんなわけない!」と反論したかったが、そんな事は出来ず、逆にその言葉がすんなり心の中に入っていき今まで奥底にあった痼りの様な物が無くなった気がした。


 その時優奈は気付いてしまった。


 「ああ私は前田君が、前田慎二君の事が好きなのだと」、その後は簡単だった。


 気持ちがわかってしまえば何で今まで訳も分からずに暴力を振ってしまったのかようやくわかった。


『やっぱり貴方達も慎二の事が好きだったんだね、でも私達だってこの気持ちは変わらない、だから勝負をしない?』


「勝負?どんな事をするの?」


 神田雪の言葉に優奈は気になったので聴いてみた。


『内容は簡単、慎二が私達の誰かに告白して来たら恨みっこ無し、慎二はかなりの鈍感とみた、そんな奴に自分から告白なんてすると負けた気がするでしょ?だから自分をアピールするのは良いけど告白をするのは慎二にしてもらう!』


 その言葉に皆は賛成した。


『私達は同じ男を好きになった、いわばライバル同士、でも今からは友達同士、これから慎二争奪戦を行おう!』


 皆して『おおー!』と掛け声を上げた。


その後は親交を深める為に美味しい喫茶店などに行って帰路に着いた。


「そっか、私も美波ちゃんと一緒で「慎二君」の事が好きだったのか〜ライバルは沢山いそうだけど……負けてられないなぁ〜……たとえ誰を蹴落としてでも」


 その時、優奈は自分が嫉妬深かったのだと気付いた。


「………アハッ!私ってこんなに人の事を想うとおかしくなっちゃうんだね、自分でも知らなかったよ」


 優奈は今までの想いをぶつける様に明日から慎二に積極的に話しかけようと心掛けた。


「待っててね、慎二君?明日から攻めて私の事を絶対好きになってもらうからね?もし駄目だったら………」


 その先は口に出さなかった。


 でもその時、1人の恋するハンターが誕生した瞬間だった。


 逃げられるか慎二。

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