第24話 高校とバカと




 その後は何も無くクラス別に分かれた、慎二は見なくてもわかった「F」クラスだと。 


「それにしても「F」クラスだけ他のクラスと一緒の新校舎じゃなくて別にある旧校舎なんだなぁ、結構遠いみたいだし、まあ今はあまり他の生徒と会いたく無いからありがたいけどさ」


 ここでもクラス別の格差が存在した、「F」クラス以外は今年新しく出来た新校舎で授業を受けるが、「F」クラスだけは新校舎から10分程歩いた所にある旧校舎で授業を受け生活しなくてはいけない。


「旧校舎結構遠いな、やっと見えて来たけど遠目でもかなり古いのがわかるし、「F」クラスって頭が悪い以外に問題児も集まるみたいだしヤンキーとかいたらどうしよう?生徒とか全員モヒカンで世紀末的な環境になってたりして……考え過ぎだよね?ここ一応偏差値高い高校だし」


 そう考えていたら「1-F」と書かれた壊れかけの木のネームプレートがある自分の教室に着いた。


 ヤバイなんか本当に緊張して来た、どうしよう?教室開けた瞬間ギャルとかヤンキーとかがいたら?……これで僕もヤリラフィーの仲間入り?いや、名簿見た感じでは服部君も「F」クラスだったから知り合いがいないってわけじゃ無いけど……ええい!考えてても変わんないし中に入ろう!


 ガラッと、扉を開けた先には思ってたより真面な生徒達がいた、ただ設備が終わっていた、床は畳の上に、机は段ボールで座る椅子は座布団と、見た感じいかにもヤンキーみたいな生徒とかはいなかった、女子は少ないが何人かいるみたいだ。


 黒板に貼ってある席順を見て座ろうと思ったら違和感を覚えた、クラスの皆が僕の事を見ている事に。


 なんかこういう事一回警察署であったんだけど、周りの生徒は僕の顔を見たらヒソヒソと喋り出した。


 あまり気にせず席に座る為自分の机を探していたら、保健室に行っていたはずの服部君がクラスメートと楽しそうに話していた、そこに自分も混ざろうかと思っていた、内容が自分についてじゃ無かったら。


「それでさ聞いてくれよ皆、さっきも言ったけどモニターに写っていた前田慎二って子いたじゃん?その子このクラスなんだよ、ほら今黒板の近くにいるみたいなアホヅラ……の………やあ!前田君さっきぶりだね!まブハッ!?」

「服部ーー!貴様売ったな、僕の事を!?それに保健室に行ってたはずだからモニターに映ってた事知らないはずでしょ、なんで知ってるのさ!それに誰がアホヅラだ!」


 流石にイラッとして楽しそうに話していた服部にドロップキックをお見舞いした、それにアホヅラで悪かったね!


「ま、まあまあ落ち着いてよ前田君、僕が言わなくてもその内君の事はわかる事なんだからさ、それに情報だったら僕には筒抜けだよ!アホヅラって言ったのははごめん」


 そんな事を服部が言った瞬間、周りからは流石「情報屋!」と歓声が上がった。


「そうだよ前田君、服部君は君が来る前に良い人って皆に伝えていたんだ、だからこれぐらいで許してあげてよ、ね?あ、後僕の名前は木之下由紀よろしくね!」

「う、うんそういう事なら木之下さんに免じて服部君の事は許すよ、こちらこそよろしくね、僕は前田慎二、今後ともよろしくお願いします!」


 さっきまで服部君の事遠後何発殴ってやるか考えていたけど、木之下さんがこう言うならしょうがない、決して木之下さんが可愛いから絆されたわけじゃ無いよ?


 そんな事を考えていたら、慎二に蹴られたお腹を押さえながら話に加わってきた。


「その、前田君横から悪いんだけどさ、木之下「君」は「男」だよ?勘違いしてるかもしれないけど」


 そんな事を言うのだ、でも慎二はそんな事は信じる訳がなく。


「は?何を言っているんだ?こんな可愛い子が男な訳がないじゃ無いか!また僕を揶揄う気だね、その手には乗らないよ!木之下さんに悪いじゃ無いか、ねえ木之下さん?……木之下さん?」


 また、服部君が変な事を言った、木之下さんが「男」とこんな可愛い子にあんな悍しい「物」が付いている訳ないじゃ無いか!冗談も程々にして欲しいと思っていたけど……木之下さんの反応がおかしい、僕が話しても「あはは」と苦笑いを浮かべるだけだ。


 服部君に肩に手を置かれてこう言われた。


「僕も残念だよ、「木之下君」は歴とした「男」だよ、本人がそう言ってるんだから」

「そんなぁ〜おかしいでしょ!こんな可愛いんだよ?皆もそう思うでしょ?」


 残酷な真実を知った慎二は、その場で床に手をついてしまった。


 その言葉に殆どの男子生徒が「うんうん」と頷いた、話がわかるクラスメートみたいで良かった。


「ごめんね、僕は本当に「男」なんだ、こんな僕でも仲良くしてくれるかな?」

「当たり前だよ!今度からは木之下さん改め木之下君って呼ぶね?」

「うん!ただ、その友達になるんだから名前呼びで「由紀」って呼んでくれると嬉しい、かな?僕も「慎二君」って呼ぶからさ…駄目……かな?」

『グハッ!?』

「ええー?!慎二君!他の皆も!」


 破壊力が凄すぎる、僕以外の生徒も胸を抑えて悶えてるもん、神は何考えてんのさ!完全に性転換間違えてるよ!……まあ神も神で全身白タイツで現れるぐらいだからしょうがないか。


 そんな馬鹿な事を考えながら、オロオロする木之下君、改め「由紀」を見ていたら声が上がった。


「本当、男って馬鹿ばかりよね普通わかるでしょ?特にアンタ、前田だっけ?アンタ鼻の下なんて伸ばして本当気持ち悪いわね、私達の事見て何考えてるのかしら」


 と、何故か僕の事ばかり批判してくる「女子の制服」を来た男子「生徒」が話しかけて来た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る