過去のやり直し 高校生活は女難の日々です その先に待つのは幸福か、災難か〜@
加糖のぶ
1章 やり直し編
第1話 プロローグ
◆
・嘘か本当か
人が生活していく中で1度は嘘をついたことがあるはずだ。
嘘の中でも種類があり一つは相手を心配させない為の嘘や、傷付けない為の嘘と相手を思いやる善意の嘘がある、もう一つは自分の事しか考えてない様な人が誰かを貶める為だけに使う嘘や詐欺まがいや犯罪に繋がる様な悪意ある嘘の二つがある。
では、嘘か本当の見分けかたはあるのかと言われたらどう答える?……ほとんどの人が「わからない」と答える人が多い筈だ。
ある日そんな嘘か本当かわからない世界でただ1人だけ嘘も本当も全てがわかってしまう目を手に入れたらどうする?善意ある人間だったら正義に使う?悪意ある人間だったら欲望に任せて使う?
そんな目をある日突然手に入れてしまった男の話が今始まる。嘘か本当か人ならざる力を手に入れた人間はどんな道を辿るのかその目で確かめてくれ。
◆
初夏というには暑すぎる猛暑日が続く7月下旬。
金曜日の夜ともあって普通なら学生でも社会人でも浮かれているであろう夜。
高層ビルが立ち並ぶ薄暗い路地にその男はいた。
紺のスーツを片手に持ち白いシャツ姿である事から帰宅途中のサラリーマンだと思われる。ただその男はぶつぶつと呟いていて近くを通る人々は薄気味悪く近づこうとしない。
「どうしてこんな事になったんだ……こんな事望んでいないのに」と、ただ、ただ譫言の様に下を見ながら呟いているその姿はとても不気味だった。
「‥‥‥せっかく2連休だから久々にゲーム三昧かと思ったのに課長め……なーにが「どうせ暇だから出勤してくれ」だよ!ああ、そうさ暇だよ!ゲームしかやる事ないよ!……だからって休日出勤は無いでしょ、振り替え取れるかなー……取れなかったらあんな会社辞めてやる」
と、大の大人が泣き言を言っている。
そう、この会社の不満を垂れ流してる男こそ前田慎二27歳。
理不尽に休日出勤させられてるのだった。
顔は整っているのだが、いつも眠そうな目アホな言動が多い為、一度もモテた事のない冴えない男だ。
「はあ、明日も出勤になってしまったから今日は早めに帰るか、本当にいつもいつも「ついていない」よなぁ……なんでこう理不尽な目にあうんだろう?」
と、つい口に出てしまったが「ついていない」と口癖になる程この男は生まれながらついていないのだ。
始まりは小学生低学年の頃。先生の持ち物がなくなるということがあり、その先生の私物が自分の机の中から出てきた為犯人となってしまった。
本当に自分が物を盗んだ記憶など無いが、嘘つきで泥棒というレッテルが貼られてしまい、小学生時代は誰も信じてくれずましてや家族にさえも見捨てられ、いじめられる日々が続いた。
中学生で心機一転と思っていたがこれも思い通りには行かなかった。
中学3年生の11月頃までは友達もいてとても充実した生活をしていたが……慎二が最愛の人を亡くした直後に運悪く小学生の時の同級生と会ってしまった事が原因で、自分が通っている中学にも自分が嘘つきで犯罪者と広まってしまった。
その時に信じていた親友達も離れていってしまい何もやる気が起きなくなってしまった。
高校の時も社会人になった時も何故か自分が悪くなる事ばかり起きてしまい不運にばかり会い、口癖が「ついていない」となってしまった。
そんな昔の事を少し考えてしまった慎二はついつい口癖の様に呟いてしまった。
「本当今もそうだけど昔は結構酷かったよねぇ、そりゃあ良くしてくれた人や友人になってくれた人はいたけど……結局最後には「いなくなる」んだもんなぁ」
慎二だって全部の人が悪いと思っているわけでは無い、むしろ良い人がここ最近では多いとさえ感じていた。ただ自分は運が悪かったり不幸が重なり自分の元から結局いなくなってしまうのである。
「でも今の僕相当やばいよなぁ、結婚は別として彼女はいない、友人はいない、夢もない、やる気もないと……こんな姿昔良くしてくれた人になんて見せられないよ、はぁ……何処で間違えたんだろう?」
慎二はこれは「自分の体質がおかしいのでは?」とさえ思っている、自分から付けた名前だが、この体質を「負幸体質」なんて呼んでいる。
「……はぁ、明日も早いし早く帰って寝るかな……何だろう?あんな所に神社なんてあったかな?」
別に自分は酔っている訳ではない、いつも通る道、いつも見ている風景と普段だったら何も気にしないはずだ、なのに目の前にある立派な鳥居のある神社は記憶にない。
入ったらやばい様な気もしたが、何故か中がどうなっているのか気になってしまった衝動で入ることに決めた。
「うわぁー!やっぱ夜の神社は迫力あるよね、少しだけなら見ても罰当たらないよね?」
と、足を鳥居内に入れた瞬間周りの景色が灰色になった様な気がした、その事に「気のせいか?」と思ったが違うみたいだ、「まさかあの有名な異世界転移だったら?」そう思った時……
「残念、異世界転移では無いよ?」
声が後ろから聞こえたから振り向いたら‥‥‥そこには変質者がいた。
(え?誰?普通お爺さんとか美女が立ってるんじゃないの?この灰色の空間もおかしいし)
「誰が変質者だ!これでも偉いんだよ!?それにこの空間凄いんだよ?何故なら時間が止まってるからね!」
(いやいや、何処に全身白タイツのおっさんがこんな夜に神社にいるんだよ?ハロウィンじゃあるまいし、いやハロウィンでもいないか?……しかも空間が止まってるって言っても目の前に全身白タイツの男がいたらそっちの方に目がいくでしょ普通……やけに顔はダンディだし…誰得?)
「そこ、変なこと考えない!それよりもこの空間以外に何か違和感を覚えないかい?」
(………はっ!こいつ脳内に直接!?)
それでもネタを口にする慎二。
「それもそうだけど!いきなりネタ入れないでくれるかな!?自分が口で喋ってない事ツッコもうよ!?もう君と話してるとペースが乱れるよ!」
(我がままな白タイツだね、で何か用事あるの?)
「いきなり普通に戻るなよ!?ハア、ハア……」
(興奮しないの、全く今時の白タイツはこれだから……)
「もうツッコまないよ?今度こそ話に入らせてもらうからね!……君の名前は前田慎二君で合ってるね?…年齢は27歳、何かこの頃と言うか今までに大きな悩みとかあるんじゃない?」
(うん、まぁ……合ってるね(てか何でこんな情報知ってんの?ストーカー?変態でストーカーとか終わってるよね))
「ちょい待てや?…慎二君、君それどうやってんの?心の中で呟いてその心の中で呟くってどゆこと!?」
(なんか出来たとしか言えないけど、悩みね悩み……この変な体質の事…………かな?)
「うん、その通り!その体質について何だけどね君「負幸体質」なんて自分で名前付けてたじゃない?あれねあながち間違ってないんだよ」
(?と………言うことは?)
「本当に君の体質は「負幸体質」何だよ!」
(おお?なんか当たってたよ。……それで?この体質って治るの?何が原因なの?)
「まあ、それを普通聴きたいよね、順番に説明するから待ってね、まずその体質が治るかについてだけど……治らないことは無い」
(と、言うことは?)
「うん。直すためには条件があるの、一つ目は自分が死んでしまう事、二つ目が過去に戻り徳を積む事、要するに人助けをやれば良いんだ」
(なんか……過去とか出たけどぶっ飛んだ話は置いといて一つ目の死ぬと言うことは、負のエネルギーかなんかが僕の体に入ってる状態だと「負幸体質」を起こすが、死ねば体の器が空になるから一応は直すと言うことになるで良いの?)
「その通り…だけど凄いな……あまり説明してないのに真理に辿り着くとは、そうだね君が言った通りでほぼ合ってるよ、ここに繋がるのが「負幸体質」になってしまった原因なんだよ」
(原因か?こっちはあまりわからないかな)
「うん、わからなくて当たり前だと思うよ、これはねこの世界の闇の一部分でもあるんだ、人とか関係なく生物って生き物はね何でも負のエネルギーを出すんだよ、そもそも負のエネルギーて言うのがね簡単に説明すると、妬みや不満、怒り等何処からでも大体溢れ出すものなんだ。その溢れたものは普通は大気圏内に溜まっていてそれを消費するために少しづつ地上に落とすんだ、それが所謂不幸ってやつになるんだ」
(おお!何となく?だけどわかる、だけど何でその不幸の塊が僕の体に入っているわけ?)
「それについて今から説明するね、あっ!?まってその前に僕の説明をしてないじゃないか!?君がペースを崩すから!」
(まったく………年寄りはすぐ忘れたり人のせいにするからやだねぇ)
「誰が年寄りだ!‥‥‥まあ、多分知ってたかと思うけど僕は神の端くれみたいなものさ」
(髪の端くれ?)
「はい、わかっていましたー!そう言うボケしてくるのー!もう次進むよ?」
(お、おう)
「その不幸の塊は色々な世界で僕みたいな神の端くれが管理して少しずつ地上に落としてるんだけど、地球担当がね、間違えて全部落としちゃったの、その落ちた先にいたのが君って訳」
(おーい!ただのトバッチリじゃないか!?)
「そう、そんな慎二君、君が余りにも可哀想なのでやり直しの機会を用意したよ!」
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