Elenarze Continente Historia
羽鳥(眞城白歌)
First〈邂逅〉
[0-1]死線
もう一歩だろうと進めそうになかった。足がもつれ、受け身も取れず、倒れた地面の硬さに
逃げなければ。
奴らに追いつかれることはないだろうが、ここが安全とも言えない。せめて身を隠せるどこかへ、――でもどこへ?
「うっ、ぐうぅ」
起きようとして腹に力をいれたからか、全身が
痛みを
「あなた、
まっすぐ流した髪と広げられた翼は、晴天から抜け出したような
一瞬、痛みも忘れ、少女の姿に
「やっ、あなた、ひどい怪我だわ! まってて、今ひとを呼んでくるから」
「……っあ、まっ」
待ってという言葉は届かず、彼女の姿が視界から消えると同時に張り詰めていた心もぷつりと切れた。こうしてはいられないのに。
早く逃げないと殺される。追い詰められ、押さえつけられ、死ぬまで殴られて。さっきは何とか声を出せて詠唱できたから逃げられたが、次に見つかれば今度こそ確実に。
「ヴェルク、こっちなの」
「待て、フェリア。それ以上いくな、俺が見る」
必死の思い程度で力尽きた身体が動くはずもなく、少女と男性の会話が絶望の響きを
背が高く――少女と並ぶと大人と子供のようだ――肌の色が濃い、黒髪の男性だった。予想に違わぬ
「さて、おまえは……どっちだよ?」
ぐいと
向こうがじっと見つめてくる間、無意識にそこまで観察していた自分に気づき
「……シロだな。よし、フェリア、来てもいいぜ」
「うん。ねぇヴェルク、このひとひどく殴られているみたいなの」
「事情を聞くのは後だ。おまえは俺の剣を持ってくれ」
「わかったわ。ちょっとこれ、すごく重いのだけど!」
剣士の
どこへ連れて行かれるのだろう、何をされるのだろう。
「安心しろ。おまえは、
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