大魔王が会社でモーモーした日

羽弦トリス

第1話仕事中に飲酒

うちの会社は輸出入物を専門に調べる仕事。

現場で書類を作成する。色んなモノがある。自動車、アルミインゴット、ニュースペーパー用パルプ、工作機械。

貨物船で運び陸地に揚がるまでは、船側の責任、揚がったら荷役会社の責任になる。

たまに、船側に有利な書類を書いてもらいたいと、外国人オフィサーから頼まれる。

只でとは言わせない。船の冷蔵庫から缶ビールを持ってきて、何とかしてくれ!と、頼まれたので、全く船側の責任ではないとは言い切れないが、その恐れがあると、書類を作った。実際、大きなキズや凹みがないが、元々付いていたかも知れないから、その旨も書類に書いてやった。

初めから、船側の責任とは書かない。


運転は若いヤツにさせて、そいつには外国のコーラを、飲めるヤツは帰りの車の中でのんだ。さすがに、作業中には飲めない。

僕は事務所に帰ってから、パソコンで書類の後片付けをしていた。

同期のヤツに、

「クンクン、あれっ、トリスちゃんやらかした?」

「分かる?」

「スッゴい酒くさいよ!」

「これ、作ったら終わりだから、飲みにいこうよ!」

「いいね」

と、二人して鉄板焼き屋へ行く。

まだ、若いから銭を持っておらず、先輩を呼んだ。先輩は大蔵省なのだ。

先輩と言っても20歳くらい年上だが。

「しょうがね~な~。行ってやるよ」

と、電話で声を聞いたら嬉しくなった。

今日の話を先輩にしたら、

「今日は韓国船で、昼メシは一緒に焼き肉して、ビール飲んだぞ」

と。

まぁ~、こういう特殊な会社だから成り立つのだが、皆さんも仕事中飲んだ事ありませんか?


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