性倒錯

朱鷺

第1話 はじまりの遺体

ありがとう。


誰にも届かない言葉を残し

一つの命が解放される。


数日後


~東京都監察医務院

廊下を歩く

刑事部 警部補の上野と刑事 安西康子。

2人とも言葉がない。


解剖室から解剖医 暮林が出てきた。

「上野さん、事務室で待っててください。会議室準備しときますから。」


~会議室

「先生、初めてですよね?。安西刑事です。」


「安西です、よろしくお願いします。」


「監察医の暮林です。よろしくお願いします。」


ホワイトボードに投影された異様な遺体を見ながら暮林が話し始めている。

「病理からの結果がまだですが、現状をお伝えしますね。

どっから話そうかな、、、。30~40代と思われる男性。

死因は失血による物と思いますが、薬物使用の形跡がありましたので、これは病理の結果をお待ちください。

で、このご遺体の状況ですが。眼球は摘出されゴムボールを入れた状態で瞼を縫合。

口内の歯は全て抜かれた状態で唇を縫合。

性器が切除され、肛門は瞬間接着剤のような物を併用し縫合されていて、腹部から喰い荒らされたような臓器、弱っていましたが生きた鼠が3匹、死んだ鼠が4匹が見つかりました。」


「えっ、鼠ですか。」と深く腰掛けた上野の瞳孔が開く。


「はい、ドブネズミですね。」


「暴力団関係のリンチでしょうか。」冷静に安西が呟く。


「にしても異常だな。安西、お前、コレよく見てられるな。」


「グロいですよね、ま、でも画像ですから。」

安西は立ち上がるとプロジェクターのライトを浴び、自分の影が混じる遺体の映像を見つめる。

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