神殺しの一族

テリヤキサンド

第1話 出会い

その昔、邪神が悪魔の封印をとき、すべてのものを破壊しようとしていた。

この事態に直接手を出すことが禁じられている神々は世界中の精鋭を集め、邪神を打倒するべく戦い始めた。

が、邪神の力は強大で、仲間は次々と倒れていった。

だが、最後の一人になった男はまだあきらめず、戦っていた。

この男にならこの剣を授けられると思った神々は、神剣を男の目の前に落とした。

そして、この剣を手にした男は邪神を倒し、邪神の魂は宝玉に封印された。

世界に平和がおとずれた。

のちに、邪神の倒した男は「神殺し」と呼ばれ、その一族も「神殺しの一族」と呼ばれた・・・。


 それから、数百年後。

ここは都会の町から少し離れた村。

その村近くの森で女の子が必死になって声を上げていた。

その女の子は修道服を纏っていて、聖職者関係だとわかる。

が、彼女は人とは違っていた。

人間にあるはずの耳がなく、代わりにふさふさの動物耳があった。

彼女は亜人族。

亜人族とは、人間とは違い、動物のような耳、しっぽなどがあり、身体能力も人間よりある。

 「ピット!どこなの!」

彼女はピットという男の子を捜していた。

一緒に木の実をつんでいたところ、いつの間にかいなくなっていた。

 「早く見つけないと・・・。」

この森は普段、平和なのだが、このごろは獣たちの様子がおかしく、襲ってくるかもしれないのだ。

と、その時。

 「うわあああああ。」

 「この声はピット!」

女の子は声のしたほうに駆け出した。

茂みを掻き分け抜けると、広い野原に出た。

木の下にピットは座り込んでいた。

そして、その前には興奮した野犬がいた。

音がしたためにクリスがこちらに気づき、泣きながら言ってきた。

 「クリスお姉ちゃん!助けて~!」

 「そこで、じっとしてて、なんとかするから。」

できるなら、すぐに駆けつけたいが、今、へたに動くと野犬がピットを襲うかもしれない。

何かないかな・・・。

あたりを見渡すと、石ころを見つけた。

クリスはそれを拾い上げ、野犬に投げた。

うまく野犬の背中にあたり、こちらに振り向いてきた。

それを確認すると、クリスは野犬に背中を向けて、茂みの奥へと走り出した。

獣が追ってくる気配がした。

どうやら成功したようだ。

後は、撒くことができれば・・・。

そんなことを考えながら、走っていたら、木の根に躓いてしまった。

クリスはそのままの勢いで、木に背中をぶつけてしまった。

早く動かなければならなかったが、痛みのせいで思うように体が動かなかった。

そのまま、木にもたれかかっていると、野犬が茂みの奥から姿を現した。

そして、クリスをみつけると襲い掛かってきた。

クリスは覚悟して、目をつぶった。

だが、衝撃はなかった。

不思議に思って、目を開けると、そこにはマントを纏った人がクリスをかばうように立っていた。

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