スキルをよみ解く転生者

54.チークの入れ方

私とリズは、この店の責任者だというギルベルト・フェラールさんに別室に案内された。

なに、この部屋！？

もしかして・・・VIPルームってやつ？

先程までいたお店の中も豪華だったが、この部屋は格が違った。

白い壁には高そうな絵画が飾られているし、部屋の端に並んでいる商品もさらに高価そうなものばかり。

その中には、気になる物もあった。

そして部屋の真ん中には大きなテーブルとソファがあり、私達はそのソファに座るように促され腰掛けた。

ソファもふんわりとした抜群の座り心地だ。

柔らかいが芯があり長時間座ってても疲れなさそう。

私達の前にはお茶が置かれ、目の前の椅子にギルベルトさんが腰掛ける。

ギルベルト・フェラール。

・・・フェラールって事はミランダさんの御家族って事かしら？

「接客をさせて頂いた者から、そちらのお嬢様が見たことない手法でメイクをされたと聞きまして。お話を詳しく聞かせて頂きたくこちらへ来ていただきました」

「チークの事ですか？」

「そうです。口紅を唇ではなく、顔に塗るという方法を聞いたこともありません。

チークをすると血色がよくなり、立体感が出ると聞きました。ぜひそれを見せて頂きたいのです」

ーーー・・・・・・

ギルベルトさんに頼まれ、やり方をみせる事になった。

目の前にはメイクをする為に前髪を、まとめた2人の女性。

私にメイクをしてくれたお姉さん、シエルさんと、別の従業員らしい女性だ。

私が先程、アイシャドウを使った方が・・・と言った為、口紅とアイシャドウを使ったやり方を見せて欲しいらしい。

「ハイライト用などの、大きめのブラシをお借りしてもよろしいでしょうか？」

そう言うとシエルさんが大きめのブラシを貸してくれた。そのブラシの柄を使いながら説明する。

「基本的には、黒目の外側の下と小鼻から耳の中央を結んだ位置が交わるところを起点とし、そこから塗り始めると失敗が少ないです。

起点からこめかみあたりのところまでチークを入れる。それが基本的な塗り方です。

迷ったらニッコリ笑った時に1番高くなる位置に入れれば間違いないです。

ですが、顔の形によって入れ方を変えると、欠点をカバーできますよ」

シエルさんは赤いリップをつけていたので、同系の赤いアイシャドウを、借りたブラシにとる。

「ブラシにしっかり含ませ、手の甲などで調整します。

シエルさんの顔はシャープで美人なので、シャープさが際立つとキツい印象になりがちです。ふんわりと丸く入れると、柔らかい印象になります。

可愛い系にしたいなら、ピンクや赤で頬の内側に入れるといいですよ」

そういってブラシで方の内側にふんわりとチークを塗った。

うん。可愛いくできた！

次にもう1人の女性。こちらの方は丸顔だ。

ブラシで塗るマネをしながら説明する。

「丸顔の人には頬の高いところから、こめかみに向かって細長くシャープになるようにチークを入れるのがおすすめです。

先程とは逆に、黒目より外側に塗ることを意識してみてください。

斜めに入れ込むと、顔がリフトアップして見えるので、フェイスラインがシャープに見えます。そして、口紅を使うなら・・・」

と、オレンジ系の口紅を2色、ヘラで少し削り手の甲で混ぜた。

「アイシャドウ・・・パウダーの魅力は扱いやすさにありますが、クリームチーク・・・口紅を使うなら、アイシャドウより慣れが必要だと思いますが、こうやって好きな色を混ぜ、よりその人に合った色を簡単に作れるのが魅力です。

塗り方は、このように指でとってトントンと叩くように塗って伸ばします」

そう言いながら、丸顔の女性の顔にオレンジチークをつけてゆく。

「今回はフェイスパウダーの上からやってしまいましたが、パウダーの上にのせると、よれやすいので、先にチークをぬるといいですよ。

濃いめにチーク塗った上からフェイスパウダーを塗ると、自然な感じになりますし、リキッドやクリームファンデと混ぜるのも面白いです」

・・・できた！

ギルベルトさんに見えるように、2人の前から退いた。

「いかがでしょうか？」

「なるほど・・・。

血色はもちろんですが、仰るとおり立体感が出ますね。

頬に口紅やアイシャドウを塗るということを考えた事もありませんでしたが、逆に顎のラインなどにブラウン系のアイシャドウを入れても面白いかもしれませんね」

「ええ、シェーディングですね！

顎はもちろん、顔の形によっては額にシェーディングを入れるのも効果的ですよ。

あと鼻の低いのが気になる方へは鼻筋に・・・ノーズシャドウもオススメです！！」

シェーディング・・・顔を削るようなイメージで顎など顔のラインに入れると小顔効果があり、ノーズシャドウを入れれば更に顔が立体的になる。

その事を男性で思いつくとは、さすがはこのお店の責任者！と思いながら話をした。

久しぶりにメイクをしただけでも楽しかったのに、メイクの話が色々出来て、とても楽しかった。

私は改めて、やっぱり自分はメイクやおしゃれが好きだったんだな・・・。と、思った。