今日、君に殺されに行く
朝食
第1話
俺には死神でもとり憑いているのだろうか?
去年の五月に、交通事故で両親と妹を失い、先月には、最後の肉親だった爺ちゃんもあの世へ旅立った。そして、今度は俺の尊敬している人に死が近づいている。家族の死は避けようがなかったが、今回は違う。救える可能性があるらしい。まあそれも、俺に憑いているこの死神の言葉を信じるならば、の話だが。といっても、俺が頼れるのは、この死神と璃李しかいない。とりあえずこの件を璃李に相談してみようか。具体的な案はでなくても、彼女の天真爛漫な性格で、少しは気も楽になるだろう。実際、俺は何度も彼女に救われてきた。もし彼女がいなかったら、今頃は自分の運命を受け入れられず、自暴自棄になり、きっと家族のもとへと向かっていただろう。俺にとって彼女は、水であり、酸素であり、太陽であり、そう、一言で言うならば、「生きるために欠かせないエネルギー源」だった。漠然としているが、その表現が最もしっくりくる。そこでふと、逆に「俺がいなくなったら彼女はどうなるのか」と考えそうになり、反射的に頭を横に振る。それでいいんだ。その先には彼女の日常が続くだけ。そして、それこそが俺の一番の望み。俺にとっての「あの日」と彼女にとっての「あの日」は重みが違う。そんなことを考えながら、俺は彼女にあった「あの日」を思い出していた。
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