ゆめのなかへと

 

 私は、逃げた。

 せっかく見つけた発散方法を放り出した。

 だから私は再び病院へと送られた。

 現実から逃げた、そのツケだ。

 白黒まだらの天井をじっと見つめる毎日を送る私の所へ、変なのが来た。

 コーヒーの香りを纏った、気持ちの悪いナニカ。

 なん、だっけ、コレ。

 私は天井を見つめたままぼんやりと考えていた。

 ソレは、私を見て金切り声を上げた。

 ガラスをかくような変な音。

 白い塊に引きずられる様に連れていかれるナニカを視界に入れていても私の気持ちは凪いでいた。

 

 私は夢を見ている。

 建ち並ぶビルの間を駆けばけものを産み落とす。

 夢の中で私は誰かの母になっていた。

 誰の母?

 はは?

 おかあさん……。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

神話を語ルは我にアリ? 初月・龍尖 @uituki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る