28. ローデリック家
■ ローデリック家
屋敷に戻る頃にはすっかり日も沈み、朝の装いのままでは少し肌寒いくらいになっていた。
今日は丸一日クロードに付き合ってもらったので、そのまま部屋に戻って休むように伝える。
「着替えないで寝ちゃ駄目ですよ」
まるで子供に注意するように言いながら、クロードは執務室に戻っていった。
「はぁ」
つい溜め息が出てしまう。
夢を見るようになってから、クロードには世話をかけっぱなしだ。
結婚式が終わって落ち着いたら、絶対に長期休暇を取らせよう。
あと一カ月もすれば全てが解決して、この屋敷でリリアナとの楽しい生活が始まっているはずだ……いや、絶対に始まっている!
元はと言えば過去の自分のせいだ、俺が頑張るしかないんだから。
ああ、しかし今日は疲れた。
ミレイアのやつ、二人きりにならなければ行動を起こさないと思っていたが、考えが甘かった。
あの女、礼儀も何もあったもんじゃない。
リリアナが怒らないのをいい事に、いままでやりたい放題やってきたのだろう。
しかも俺のことをチョロいと思っているはずだ、あーまたムカついてきた。
しかし、なぜ俺なんだ?
ミレイアは上昇志向が高い。
社交界デビューをしてからは、出られるパーティすべてに顔を出していると聞く。
次期王太子妃候補との噂もあり、来年16歳となる誕生会は既に社交界の注目の的だ。
俺の事なんて、王太子妃になるなら関係ないはずだろ。
それに小さい頃から何度か会ってはいるが、特に好意を持たれていたような記憶がない。
ミレイアと初めて会ったのは、確かそう、リリアナ6歳の誕生会の日。
リリアナとの出会いは運命的で、ミレイアは最悪な印象しか残っていない。
もう12年前になるか……。
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