廊下にあるオフィス

ぼくが仕事をしているスペース、これをオフィスと呼んでいる。


ただ仕事をしていればそう呼べるというものでもない。前の家ではダイニングテーブルで仕事をしていた。ああいうのはオフィスとは言えない。飯を食ったりと別の用途がある場所、というかそもそも別の用途の場所を仕方なく仕事に使っていただけだからだ。


そういうわけで、オフィスと呼ぶには仕事場所が主たる役割のスペースでなくてはいけない。そういうわけで2階の中庭に面した廊下を、ぼくはオフィスと呼んでいる。そう、ぼくは今廊下で仕事をしている。


廊下なのだが少し幅が広くなっており、その部分には机にしてくれと言わんばかりの奥行きは狭いが幅は十分すぎるほど広い板が打ち付けてある。これがぼくのデスクとなっており、椅子とパソコンを置いて仕事をしている。


廊下ではあるが、狭苦しくはまったくない。目の前には窓があり、我が家の中心である中庭を見下ろす格好になっている。ぼくは空を見るのが好きなので、1日に1回ぐらいは窓を開けて、ぼーっとここから空を眺めている。


ちなみに午前中はこの窓から思いっきり日が差してくる。なのでこの窓のカーテンは唯一アルミブラインドになっている。カーテン屋の提案で理解したのだが、ブラインドというやつは、光を遮るだけじゃなくて、反射させて取り入れることができる。この歳になってようやくそれを理解した。便利に使っているが、なによりブラインドがあると急にオフィス感がでる。気分が重要だ。


いくらかの問題もある。


エアコンのない廊下なので冬の寒さが一番の懸念だったのだが、電気ファンヒーターを置いてひざ掛けをしていると、許容範囲におさまっている。夏はどうなるかはまだわからないが、風通しは良いので、窓を開けて扇風機をまわせばきっとだいじょうぶだろう。


奥行きが狭いのはやや問題で、大型のディスプレイを置くと近すぎる。基本的にはノートPCで仕事しているので問題ないが、ディスプレイは斜めに見る必要があってなれない間は首に負荷があった。


幅は十分ひろいので、半分近くが余っている。余っているのだが、がさつなのでケーブル類が散乱してしまっている。このあたりはおいおい整理してきれいにしたい。


なにも置かずにあけておいても用途はあって、洗濯物をたたむことができる。そうオフィスはベランダを背にしている。朝洗濯物を干して10秒で仕事に入れるので便利だ。


デメリットとしては、会議時のビデオのバーチャル背景がかかっていないと、洗濯物満載の風景を同僚や取引先に見せてしまうことだ。先日は普段と違う人と違うツールで会議をする際に、これをやってしまって大変困った。


いくつかの問題はあるものの、ここに引っ越してこれたのは保険があるからだ。つまり、この廊下をオフィスにするのを断念したとしても、別の部屋をオフィスにすればいい。我が家には3部屋の居室があるが、1部屋は完全に余っている。


余って何になっているかというと、ゲストルームになっている。

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