第2話 本能の叫び

真夏の真昼だというのに、周囲は完全に日陰になっている。




札幌といえど近年は温暖化やらの影響で、30度を超える日も珍しくない、アスファルトの照り返しなどを考えると本来ならありがたい日陰である。




だが、その頭上にあるのが明らかにオーバーテクノロジーによる巨大メカだとしたら……。




茂利の判断はもはや反射的であった、バイクにまたがりフルスロットルでその場を離れることを選んだ。もはや見つかるリスクより、未知の恐怖と得体のしれない何かはまず友好的な存在であるはずが無いと思ったのだ。




『友好的な存在ならばこんな街中で、主要道路に堂々といきなり現れるはずがない!』




走りながら茂利は段々と冷静になり、状況を整理していく。




「フゴッ!!」




「うわ!!」




間一髪飛び出してきたゴブリンを茂利はうまくかわした。




「やっぱりこうなるか……!!」




フルフェイスのヘルメットの中で、顔をゆがめ、歯を食いしばりながら茂利は覚悟を決める。




轟音が響く中でも、バイクのエンジン音はやはり別で、魔物の群れが注目しないわけがない。




茂利に魔物の群れが群がってくる。茂利は慣れたテクニックで、バイクを巧みに扱い魔物をかわし、時には足でケリを入れて悪路で転倒のリスクを承知で普段絶対しないような危険運転に該当するような行為もする。




そんな中、茂利が蹴飛ばした魔物が持っていた鉄パイプが宙を舞った。




「あぶね!!」




茂利はそれを目前で間一髪、手でキャッチできた。落としていたら、巻き込んで転倒していたかもしれない。




偶然にも茂利は思いがけず武器をゲットすることができた。




「ハハハ……まるで、暴走族みたいじゃないか……」




そういいつつ、茂利は鉄パイプを握りしめ、ようやく魔物の群れを突破した。




「よし!」




あとは頭上にいる得体のしれない、非現実的な存在から逃げ切るだけだ。その時、茂利は何かとすれ違った。




「!?」




一瞬だったが、それはダイバースーツのようなものに身を包んだ、女性たちに見えた。

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