人が人である限り、生命の系譜として連綿と受け継がれていくモノがある。
それは紡がれた言葉だけではなく生き方も含まれている。善も悪も何もかもさえ内包するほどに。
この話は、大切なモノを喪った三人が織り成していくリレーのようなものだ。
年齢も性別もすべて異なる人間たちが、何かを取り戻そうとし、次に来たる人々に伝え遺し、あるいはどのように過ちを正していくか――。
時に優しさを、時に清算を求められるが、また新たに魂のバトンを受け継いでいくお話。
生々しいどころか凶暴なまでの感情の肉迫が文章の中で鼓動していている。
キャラたちが幾多の懊悩を抱え歩んで来た道程を感じさせてくれる。
面白いかどうか――結論を出すにはまだまだ早い。
それでも期待をせずにはいられない、生きたキャラクターたちの生き様を垣間見た。