ハーブティーで乾杯しようか 

ももいくれあ

第1話

午前3時のハーブティーは

ちょっとだけ温ったかかった。

ラベンダーの眠りの中で、

ココナッツの香りがした。

そんな街にやってきて、

4ヶ月が経っていた。

抱えきれない思い出と 

 荷物はそのままだった。

おもちゃ箱のダンボールを

開けたまま夜を明かした。

ちょっと痩せたその顔に

鏡ごしに微笑みかけた。

そんなすべてを求めてたくて、

背負いきれないぬいぐるみは、

 押入れにしまっておいた。

ぬいぐるみの出番もない、

毎日を過ごしていこうと、

 ココに来たはずなのに、

いつのまにか2年が過ぎて、

それでもハーブティーはあって、

ラベンダーの眠りの中で、

 ココナッツ味の涙を流した。

こんなふうにやってきて、

こうして強くなっていた。

おさえきれない悲しみと、

つかんだものの大きさは、

 とても、くらべられなかった。

開いたままのダンボールに

何を詰めるか考えた。

キレイになった横顔に、

ほんとの素顔を押し込んで、

 この街を出て行こう。

誰かの挽いたコーヒーが、

恋しくて、懐かしくて、

アップルパイが一番合うのは、

ほんとうは、ハーブティーだったなんて、

今まで、ほんとに知らなかった。。。

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