第2話 死神殺し①
「これが、トレード用のカードになります」
翌朝。
俺は、ガチャで出たカードを渡しにユージンさんの家を訪れていた。
もちろん、今回も向かわせたのは、俺自身ではなく俺に変身させた鈴鹿となる。
「おお、ドミニオンか……! まさか、ここまでのカードをくれるとは! 助かる!」
俺の渡したカードを見て、満面の笑みを浮かべるユージンさん。
どうやら、トレード内容に不満はないようだ。
アンゴルモア前のカードやアイテムの価値が物差しとして機能しなくなった今、トレードは「お互いに納得したか」が基準となる。
……まぁ、ガーネットの効果を知ったらユージンさんも不満を抱く可能性はあるが、今の世界では情報も立派な資産の一つだ。
情報の非対称性によって両者の間で物の価値に格差が生じてしまったとしても、タダで情報を渡す義理は無い。
ガーネットの効果を知らず、ガーネットを使う方法も無いのであれば、それがユージンさんたちにとってのガーネットの価値ということになる。
……とはいえ、俺も一方的に買い叩くつもりもない。蓮華のキーアイテムや、両者にとってのガーネットの価値、数年間のヘファイストスのレンタル料など、諸々を考えて、ドミニオンが適当という判断だった。
「これがありゃあ、今回程度の敵なら相手じゃないだろうよ。礼を言う」
確かに、Bランクの装備化カードのデュナミスを眷属召喚できるドミニオンがあれば、今回程度の敵であれば十分に撃退できるだろう。
……ただし、今回程度の敵であれば、だが。
今回、防衛に成功して、敵も一人たりとも帰さなかったことで、あちらも警戒を高めたことだろう。
そのまま、この島を諦めてくれればそれで良いが、次があるとすれば、さらに強力な部隊を送り込んでくるに違いない。
その時に、果たしてドミニオンで事足りるか。
いくらドミニオンがデュナミスを眷属召喚できると言っても、対眷属スキルがあれば一発だ。
……まぁ、その時は、その時だ。ドミニオンは、あくまでも俺がなるべく出なくても済むようにするためのカード。それを上回る時は、俺が援軍に駆けつけ、倒せるようなら倒し、それが無理なら立川へと逃がす。
それもまた、代金の一部。
俺は、そう考えていた。
そして、もう一つ。
「迷宮主たちにも釘を刺してくれた、助かったぜ」
今回の帝国の襲撃で、迷宮主たちは帝国にも小良ヶ島にもつかないという立場を取った。
それは、人間に良いように使われるのを嫌ったのか、あるいは「人間同士の争いに手を貸すつもりが無い」というアピールなのかはわからないが、確かなのは「こちらの味方にならなかった」ということだ。
気持ちはわからないでもないが、そんな奴ら、不確定要素でしかない。
そこで迷宮主を集め、次の侵攻の際にもこちら側に協力しないようなら「迷宮主を交代してもらう」と釘を刺させてもらった。
交代してもらうとマイルドに言ったが、まぁ要は消えてもらうということだ。
カード全員を総召喚して威圧を掛けたこともあり、一部の好戦的な主以外は内心はどうであれ、以降の防衛では協力することに頷いてくれた。
もちろん、タダではなく、一戦ごとに迷宮主のランクに応じた魔石を支払う約束である。
契約の権能の性質上、対価は必須となった。それでも、イレギュラーエンカウントの魔石で払いきれる分ならタダみたいなものだ。
「どうだ? せっかくだし、飯でも食っていかないか?」
「あー……すいません、実はこの後、重要な用事がありまして」
用事。もちろん、昨日の聖女からの呼び出しである。
時間のある時で良いのでなるべく近日中に、とのことだったが、格上からのそれは、すぐに来いと同義である。
それでも小良ヶ島に早急にカードを渡す必要があったため、こうしてカードだけは渡しに来たというわけだった。
……本当は、迷宮主たちにも釘を刺す程度じゃなく、キッチリ白黒つけて契約が無くとも進んで協力してくれる迷宮主だけにしたいところだったが、聖女との会談が控えていることもあり、一個一個迷宮を攻略して主を始末していく時間はさすがになかった。
一応小良ヶ島の住人と仲良くやっていた迷宮主もいたことから、一度チャンスを与えた形だ。
俺の返答を聞いたユージンさんは残念そうな顔をした。
「……そうか。ま、いつでも来てくれ。歓迎するからさ」
「はい」
ユージンさんと硬く握手を交わすと、俺はハーメルンの笛でカードたちを帰還させた。
「本日は、お呼びたてに応じて下さり、誠にありがとうございます」
無事ユージンさんとのトレードを終わらせた俺は、そのまま星母の会のシェルターへと向かった。
もちろん、今度は俺自身での訪問である。
いつものようにハトホルとセクメトに出迎えられて案内された、まるでホテルのスイートルームのような部屋。
そこで笑顔で待ち構えていた聖女の顔を見た瞬間、俺は気持ちがどこまでも沈んでいくのを感じていた。
これからこの史上最悪の大量虐殺者を前に、お茶をしなければならないと思うだけで、指先が震える。
しかも、聖女がわざわざ「大事な用件」と告げるような話が待ち受けているのだ。
鬱にならない方がおかしかった。
「どうですか、この部屋は?」
できるだけ平静を装いながら挨拶を交わし、席についたところで、聖女がそう問いかけてきた。
どうって……。俺はぐるりと部屋を見渡した。
フェンサリルの一室にも勝るとも劣らない、広く豪華な部屋。素人の俺の目から見ても、一流の家具が揃っている。床の絨毯もフワフワだし、今腰かける椅子も実に座り心地が良い。
うん、良い部屋なんじゃないの? それ以外の感想は特に思い浮かばない。
……いや、正直に言うなら、少しばかりの嫌悪感があった。
一般信徒たちがどういう部屋で暮らしているかは知らないが、全員がこのような部屋で暮らしているということはないだろう。
外で地獄のような光景が繰り広げられる中、アンゴルモア前に多くの人から吸い上げた富で、このような豪華な暮らしをしている……。
それに、嫌悪感と侮蔑を覚えないと言われれば嘘だった。
「良い、部屋なんじゃないでしょうか? 聖女さまの私室ですか?」
そんな内心を隠し、俺が部屋を褒めると、聖女はクスクスとおかしそうに笑った。
「いえいえ、こちらは北川さんのお部屋ですよ」
「俺の?」
「ええ」
予想外の言葉に眉を顰めてしまう俺に、聖女は事もなげに頷く。
「五星クラスの幹部に、質素な部屋を与えるわけにはいきませんから。上が貧乏な暮らしをしていると下もやる気が出ないものでしょう?」
まあ、それはわからんでもないが……。
「同じような部屋は、このシェルターだけでなく各地のシェルターに一つずつ用意されていますので、どこに行ってもお泊りの場所には困らないかと。専属の使用人もいますよ」
……ほとんど寄り付かないのに、資材と人材の無駄遣いだな。
と思いつつ、表面上は「お気遣いいただきありがとうございます」と頭を下げておく。
「ところで、ご家族とは合流できましたか?」
まだ本題に入るつもりは無いのか、世間話のトーンで聖女が問いかけてくる。
……いや、こちらの近況を探るのも目的なのか?
裏で思考を巡らせつつ、首を振って答える。
「いえ、父とはまだ……」
「おや、それはまたどうして?」
「まぁ、色々とありまして……」
不思議そうに小首を傾げる聖女に、俺は曖昧に言葉を濁すと、さっさと本題へと入ることにした。
「ところで、大事な用件とは?」
俺がそう問いかけると、本当に軽い世間話のつもりだったのか、聖女は一つ頷くと話し始めた。
「まずは、北川さんの役職についてですね。星導師と五星将についてはお聞きになりましたか?」
なるほど、その話か。俺は頷き返した。
「ええ、まあ、大まかにはですが」
「そうですか、それなら話は早い。北川さんとしては、希望はありますか?」
「できれば五星将が良いと考えています。内部のことはよくわかりませんし、基本外を飛び回っている方が性に合いますので」
「そうですか、では五星将の方で」
あっさりと頷く聖女。
こちらの答えを予想していたのか? あるいは、どっちでも良かった?
「では、五星将に与えられるデッキについてですが、何か希望はありますか? すべてを注文通りに、とはいきませんが、デッキ全体のコンセプトや、一枚くらいであれば希望の最上位クラスも用意できますが」
最上位クラスすらも……。
星母の会の戦力は、やはり相当潤沢のようだ。
俺は、内心の恐怖を押し殺しつつ、言った。
「それなんですが、カードではなく代わりに魔道具で頂くことはできませんか?」
「ふむ、魔道具で?」
「ええ、デッキをポンと渡されましても、自分の手持ちはほぼ完成していますし、持て余すことになります。それなら、魔道具の方が戦力拡充を計れるかと」
これで聖女が渋るようなら、やはり星母の会は呪いのカードを俺の懐に忍び込ませようとしていた、ということになるが……。
「なるほど、そういうことなら、相応の魔道具にしましょう」
聖女はあっさりと頷いた。
俺を呪いのカードで操るつもりはないのか……? それとも、俺が警戒しているのを察して、あえて避けた?
いずれにせよ、ここが勝負所だ、とさらに踏み込む。
「頂く魔道具に関してなんですが……できれば絶対解除ができるもの、それが難しいのであればAランククラスの物で選ばせて欲しいのですが」
「絶対解除かAランククラスの魔道具ですか……」
これには、さすがに聖女も考え込む様子を見せた。
「申し訳ありませんが、絶対解除の魔道具は私も持っていませんね」
聖女ですらか……。
やはり、それほど貴重なのか、と俺が項垂れた瞬間。
「ですが、他のAランククラスの魔道具であれば、物によっては可能です」
「本当ですか!?」
バッと顔を上げる俺に、聖女が微笑み頷き返す。
「はい。とはいえ、Bランククラス以下ならともかく、Aランククラスの魔道具ともなると、こちらとしましても貴重品となります。なので……Aランククラスであれば最大三つ、Bランク以下ならばAランク一つ分につき最大十個まで、ということでよろしいでしょうか?」
Aランククラスを三つも! Bランククラスに関しては、Aランク枠一つにつき十個と来たか!
相変わらず星母の会が太っ腹過ぎて怖いが……。
「ええ、それでお願いします」
ここで断るという選択肢はない。俺は頷いた。
「……ちなみに、ガッカリ箱から出た完全詳細不明の品に関しては?」
ドロップアイテムならともかく、ガッカリ箱から出たアイテムならそのランクについて交渉の余地がある。
あわよくば、本来はAランク相当の品であっても、Bランクアイテム枠で手に入れる交渉の余地があるかも、と問いかけた俺だったが……。
「ああ、それに関しては、効果は不明であってもアイテムの『格』くらいはわかりますので、詳細不明の品であっても相応の格で扱うということでどうでしょうか?」
さすがに、そこまで上手くはいかないか……。
しかし、星母の会は、アイテムのランクを計る術があるのだな……Aランククラスの権能によるものだろうか? あるいは、魔道具が秘める純粋な力の大小でも計れるのか?
「……頂けるアイテムに関しては、直にこの目で見て確かめられるのでしょうか?」
「もちろん、それくらいは構いませんよ」
良し、これでキーアイテムかどうか判別できる。
選んだアイテムによっては、霊格再帰先を特定されるだろうが、そこはしょうがないか。
……しかし、予想以上に太っ腹だったな。
最後に、ダメ元でさらに一つ頼んで見るか?
絶対解除の魔道具は無いとのことだったが、絶対解除持ちのカードを扱える人員のレンタルなら、一回くらいはできるかもしれない。
人員の派遣なら、呪いのカードで操られるリスクもない。
「……………………」
……やはり、やめておくか。
星母の会の力を借りて十六夜商事の絶対結界を解除して親父と合流したとしても、そのまま星母の会に絶対結界で親父を監禁されたら最悪だ。
それこそ、星母の会の言いなりにならざるを得ない。
ある意味では、十六夜商事にいる時よりも安全になるかもしれないが……それも俺に利用価値がある間だけだろう。
とはいえ、これだけは聞いておかなくてはな。
「絶対解除の魔道具については、なにかご存知ではないですか?」
「私も全てのスキルや魔道具の効果を知っているわけではないので……」
「…………」
質問に答えているようで答えてないな。
おそらくは虚偽察知対策なのだろうが、その答え方自体が、聖女が絶対解除の魔道具について何か知っていることを意味する。
なぜ聖女が、絶対解除の魔道具に対する情報を俺に与えることを拒むのか……。
いくつか理由は考えられるが、最有力候補は契約の権能か。
絶対解除は契約の権能すらも解除する。
聖女が、契約の権能で俺を縛ろうとしているのであれば、契約を一方的に破棄することのできる絶対解除の魔道具は与えたくないに違いない。
一体、俺を契約の権能で縛って何をやらせるつもりなのか……。
激しく気になるところだが、いずれにせよ、俺に拒否権は無いも同然か。
俺は小さく頭を振り思考を切り替えると、聖女へと頷き返した。
「わかりました。それで、どうかよろしくお願いします」
「では、今リストを用意させますね」
聖女はそう言うと、カードギアを操作した。部下にメッセージでも送ったのだろう。
「さて、リストが届くまでの間、二つ目の用件についてお話ししましょうか」
二つ目……。やはり、これだけが用件じゃなかったか。まあ、飴を与えるだけ与えておしまいなんてことは無いか。最初に「まずは」って言っていたしな。
姿勢を正し、気合を入れ直す。ここからが、本番だ。
「我々が北川さんをお誘いした理由は、覚えていらっしゃいますでしょうか?」
忘れるわけがない。
「アンゴルモアの大王討伐の協力……でしょう?」
「ええ、その通り」
聖女は満足げに頷く。
「そろそろ協力について、具体的なことをお話したいと思います。北川さんには、アンゴルモアの大王の弱体化を手伝っていただきたいのです」
弱体化の手伝い? ……まさか!?
ゾワリと、背筋を冷たい物が走る。
星母の会がアンゴルモアを起こしたのは、因果律の歪みを小さくしてアンゴルモアの大王を弱体化させるため、と聖女は言っていた。
本来死んでいるべきだった人類を間引きして、本来の状況に近づけるためだった、と。
その協力ということは……。
顔面を蒼白にしているだろう俺の顔を見た聖女は、一瞬不思議そうに首を傾げると苦笑した。
「ああ、何も北川さんに生き残っている人間を殺せ、と言っているわけではありませんのでご安心を」
「……そう、ですか」
その言葉に、隠す余裕もなく露骨に安堵してしまう。
「北川さんにお願いしたいのは、主にアンゴルモアの大王の眷属……イレギュラーエンカウントの始末です」
「イレギュラーエンカウントの?」
俺の相槌に、聖女は頷き続ける。
「アンゴルモアの大王は、すべてのイレギュラーエンカウントの能力と、召喚能力を持ちます。フルスペックのイレギュラーエンカウントは、アンゴルモア中に倒されるとしばらくは復活せず、アンゴルモアの大王の能力からも失われるので、イレギュラーエンカウントを倒すことでアンゴルモアの大王を弱体化できるというわけです」
すべてのイレギュラーエンカウントの能力と、召喚能力を持つって……。
俺は絶句した。そりゃ、アンゴルモアを起こしてでも弱体化させるわけだ。……いや、あるいは弱体化させた上で、このスペックなのか?
――――ここまでやってギリギリと言ったところです。……いえ、正直に言うと、それすらも楽観的な願望と言わざるを得ないでしょう。
俺を誘った際の聖女の言葉が、脳裏に蘇る。
なるほどな……どうして俺如きをここまで厚遇するのかと思ったら、猫の手も借りたかったから、というわけか。
「もちろん北川さんにすべての死神を倒して欲しいなんてことは言いません。イレギュラーエンカウントの始末は、世界中の星母の会の姉妹団体と協力して行っていますし、基本的には遭遇した際に倒していただく、という形で構いません。もちろん、その際には然るべき報酬も払います」
……なるほど、そういうことなら、ある意味で今までとあまり変わらないか、と思っていると、不意に聖女が目をスッ……と細めた。
それだけで、彼女の雰囲気が冷たく暗いモノへと変わる。俺は、ギクリと体を強張らせた。
「……ただ、優先的に狙って欲しい敵もいます。カード化されたイレギュラーエンカウントです」
「ッ!」
ハッと息を呑む。
まさか、ここでその話が出てくるとは……!
俺は、やや前のめりになっているのを自覚しつつ、問いかけた。
「……それは、『狼と七匹の子ヤギ』のような?」
聖女が頷き返す。
「イレギュラーエンカウントどもも、相手を認めた際にはその身をカードとして残すことがあります。……もっとも、奴らが選ぶ人間は、決まって特定の人間だけですが」
特定の、人間だけ?
俺の脳裏に、ハーメルンの笛吹き男が残した謎のカードが過る。
じわりと、背中に嫌な汗が浮かぶのを感じつつ、俺は先を促した。
「……それは?」
「奴らの目的に共鳴した人間……すなわち、世界の滅亡を望む破滅願望のある者たちです」
破滅願望……? 俺は、いささか予想外の答えに、困惑した。
いや、確かに死神どもに選ばれそうと言えば、その通りなのだが……俺には当てはまらない言葉だったからだ。
……イレギュラーエンカウントのカードと、ハーメルンの笛吹き男が残したカードは別物ということか?
考え込む俺を他所に、聖女は続ける。
「イレギュラーエンカウントの思想に共鳴し、そのカードを手に入れた者たち……それを我々は『童話使い(グリムテラー)』と呼んでいます」
「グリムテラー……」
俺は、その言葉を口の中で転がすと、「これは聞いて良いものか」と迷いながらも問いかけた。
「その……気を悪くしないで欲しいんですが、そのグリムテラーとやらと星母の会は、てっきり仲間だと思っていたのですが……」
こちらの予想が正しいのであれば、猟犬使いの事件は国の上層部に『狼と七匹の子ヤギ』のカードを潜り込ませて、アンゴルモア時の自衛隊の活動を阻害するのが目的だった筈。
事件の顛末が、色々と星母の会に都合が良い物だったこともあり、てっきり星母の会と猟犬使い――グリムテラーは仲間だと思っていたのだが……。
俺の問いかけに、聖女は怒った素振りも見せず、むしろ納得したように頷いた。
「北川さんがそう思われるのも当然のことですね。実際、アンゴルモアまで我々は、一部協力関係にありましたから」
やはりそうなのか、と落胆や怒りよりも、むしろ納得を覚える。
なんかもう「星母の会は、そうじゃないとな」という思いすらあった。
「アンゴルモアを起こすことで因果律の歪みを少しでも解消する、という点において我々とイレギュラーエンカウントどもは目的を一致していましたから。ですが、そこからの最終目標は真逆。いまや、奴らは厄介な敵でしかない、というわけです」
「……なるほど」
片や『母なる海の救済』を掲げる星母の会と、片や『母なる海の消滅』を目的とする死神どもとは、根本的に相容れないというわけか。
「北川さんにお願いしたいのは、グリムテラーの中でも特に強力なイレギュラーエンカウントを持つ者……」
赤い瞳に殺意を宿して、聖女は告げる。
「————細田栄之。『死神殺し』と呼ばれる男の始末です」
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