第161話 決行日

そして決戦の日は訪れる。


カーテンの隙間から差し込む日差しを受けて目が覚めた火月は、

ベッドからと起き上がると、窓の近くまで移動した。


半分だけカーテンを開けて空を見上げると、雲一つない快晴だった。

どうやら天気には恵まれたようだ。


今日は十二月二十三日の土曜日、つまり要のデート決行日である。


今日までの二週間は本当に辛いものだった。

仕事から帰ってきたら、直ぐに要と一緒に恋愛ゲームをプレイするのが日課となり、大体明け方まで続くのがいつもの流れだった。


というのも一つの選択肢が出る度に、

要がバッドエンド直行の選択肢を選ぶため、

必ずイージーモードになってからじゃないとゲームが進まないのだ。


きっと普通にゲームをプレイしていれば、

もっと早く攻略が終わっていたのかもしれないが、

そこについては考えないでおこう。


ただ、苦労しただけのことはあって、

異性との恋愛について疑似的に体験できたのは大きな成果だった。


様々なタイプの異性と交流をし、

どうやって相手と仲良くなって恋に発展させていくのか……

主人公から学ぶことは非常に多かった。


今日も明け方までゲームをプレイして、

ようやくゲームクリアとなったのは、ほんの二時間前の話である。


ほぼ徹夜明けの状態ではあるものの、

疲労感以上に大きな達成感のようなものがあり、

ゲームをプレイして本当に良かったと思う。


もし小日向に再び会うことがあれば、ちゃんとお礼を言っておこう。


時計の針は午前八時を過ぎたところで、

デートの約束の時間まで五時間あるが、そうゆっくりしている暇はない。

何せこれから急いでデートプランを考える必要があるからだ。


後ろを振り返ると、机に突っ伏すような形で要が寝ており、

その足元付近にはねぎしおが仰向けになっていびきをかいていた。


『……もう少しだけ寝かせておくか』


今なら一人でもデートプランの構想を練ることができるだろうと判断した火月は、

目覚まし用のコーヒーを飲むために静かにリビングへ向かった。

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