第153話 困惑
結局、あれから藤堂と一度も会話ができないまま終業時間となってしまった。
会話の糸口を見つけようと何度か話しかけにいったものの、
完全に避けられていた。
一体何処で間違えてしまったのだろうか。
正直に話をしたつもりではあったが、それが良くなかったのか。
はたまた、報酬の金額があまりにも安すぎたのだろうか。
対人コミュニケーション能力が低いのは自覚しているつもりだったが、
ここまで酷いとは……。
要の恋愛相談を受けるより、
まずは自分の心配をした方がいいかもしれないと思ったが、
一度引き受けた依頼を途中で投げ出すつもりはない。
といっても頼みの
もう難しいだろう。
残る異性で火月が頼れる人といったら、
水樹さんくらいしか思い浮かばなかった。
ただ、今回の件で藤堂を怒らせてしまった手前、
同じ手法で水樹さんから情報を引き出すのは現実的ではない。
彼女も怒らせてしまったら、修復者としての仕事にも支障が出そうだ。
それに、水樹さんに貸しを作ると後でとんでもない要求をされそうな気がしたので、やはり選択肢からは除外しておいた方が良いだろう。
何にせよ、このままだと成果が無いまま約束の日付になってしまう。
ねぎしおに馬鹿にされたままでは終われないので、
今日も直ぐに帰って情報を集めようと決めた火月は、
鞄を手に取り席を立った。
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