STAGE 3-46;遊び人、エルフの王と対峙する!
「あたしは――生きていたいですっ……!」
「「なっ⁉」」
命を捧げる定めにあったエリエッタの、その運命に
周囲のエルフたちが目を見開き、驚愕の表情を浮かべた。
構わずにエリエッタは続ける。
「死にたく、ないですっ……アストさんに救っていただいたこの命をここで枯らしたくはありません……あたしの生まれも事情もぜんぶ取り払って、ひとりの人間としての、ひとつの生命としての願いがもし許されるのであれば……もっともっと、生きていたいですっ……!」
嗚咽交じりにぽろぽろと涙を零しながら告げたエリエッタの言葉を。
――心の底からの彼女の想いを聞いて。
アストは安堵したように微笑んだ。
「そうか――
アストはくるりと振り返り、エルフの上層部たちに向かって告げる。
「というわけだ。他ならぬお姫様の頼みだ――俺はエリエッタを、助けることにする」
周囲がいっそう慌ただしくなった。
ざわめきは波紋のように広がり、世界樹の内部を不穏に満たしていく。
「む、無謀な
「今ならまだ間に合う……!」
「
彼らの焦燥に、どこか〝怯え〟のようなものが混じり始めた。
何か絶大なる力をもったものに対する、根源的で本能的な――怯え。
そして。
彼らの
「……フ、ハ」
「フハハハハハハハハハ!!!!」
「「ひっ⁉」」
王の腹からせり上がるように
「アルフレッデ王よ、どうかお鎮まりに!」
「姫殿下は惑わされているだけにございます……!」
「すぐにご説得を――」
「黙れ!!」
がつん、とエルフの王――アルフレッデは巨大な杖を地に叩きつけて言った。
「
「――俺の目からすれば、かき乱しているのはお前らの方に見えるがな」
アルフレッデの眉間がぴくりと動いた。
彼は呆れたように首をゆっくりと振って続ける。
「最早譲歩の余地は無い。主が是が非でも己の道を進むというのなら――
「ひっ⁉ 王よ、どうか! どうか
滲み出る王の覇気に怯みながらも、周囲のエルフたちが
「
「む? 逃げろということか」
「その通りだ! エリエッタ姫殿下を〝助ける助けない〟の問題ではない――すべては
初老のエルフが全身を震わせながら言う。
「何せアルフレッデ様は
「ほう、S
その言葉にアストの眉がぴくりと跳ねた。
「我らが王は大陸の【
しかしアストは、続くエルフの言葉を。
「そんなものは知らん」と一蹴した。
「「そ、そんなものだとおおお⁉」」周囲のエルフが絶叫する。
「ああ。あいつが並々ならない力の持ち主なのは分かった。だがS級職のあいつと俺のどっちが強いか――やってみないと分からんだろう」
「何を、言っておるのだ……!」
エルフの翁は信じられないような表情で言った。
「やってみぬでも分かる! 矮小な貴殿など、まさしく赤子の手を捻るよりも安易に――」
「おい、おっさん」
「「おっさんーーーーーーーー⁉」」
エルフの翁の忠告を無視して。
アストは腕組みしながら、エルフの王のことを〝おっさん〟と言いのけた。
「…………」
ぎろり、とアルフレッデは三白眼をアストに向ける。
「このかき回された運命は、エリエッタも
アルフレッデは鼻から短く息を吐いて。
答えた。
「
アストはひとつの動揺も見せず。
淡々と言った。
「そうか――じゃあ、
アルフレッデは頬を歪ませながら、ゆっくりと台座から立ち上がる。
続く動作で手にした杖を空に振り上げ、思い切り地面に叩きつけた。
「「――っ!」」
どおおん、と大地を揺るがす振動がある。
びりびりと王の覇気が周囲に伝わる。世界が揺らいでいく。
どこまでも異常な空気の中で――
「荒唐無稽な
「ふむ。面白そうだ――よろしく頼むぞ」
ふたりの〝規格外〟が、
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次回、
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