第43話

 この中で一番大きな海賊船へ行こう!

 きっと、クラスのみんながいるはずだ!

 あった! 多分、あれは黒髭が乗っている200トン級の「アン女王の復讐号」だ。


 甲板から望遠鏡で俺を見上げていた黒髭がニッと笑いやがった。

 余裕の顔を崩さずに、すぐさま望遠鏡を投げ捨てサーベルを抜いたが……?!


 黒髭は何故か導火線を首に巻いて火を点けた。


 導火線からの煙で奴の顔は、真っ黒な悪魔のようになっている。


「ここが貴様の墓場だ! 海の上だがな!」

「風よ!! 来い!!」


 俺は甲板に着地すると風をかき集めた。樽に隠れていた大勢の野郎どもを暴風で吹き飛ばし、ここが大海賊ベンジャミン・ホーニゴールドの前の決着の場だと信じた。


 海賊たち……野郎どもは、海へと落ちる寸前にピストルを撃ってきた。

 俺は風を身に纏って防いだ。


「死ね―――!」


 今まで冷静だった黒髭がサーベルを振り回し、物凄い勢いで突進してくる。導火線は、ここから少し離れた船の火薬庫に繋がっていた。


「であーーーー!! 風よ!!」

 

 俺は更に暴風を後ろで受ける。

 暴風を受けた俺は、ロケットのように黒髭の懐に突進した。


 瞬間。深く。黒髭の腹に刀を突き刺した。


 一撃だった。


 ふう、風が心地よいな。


 白い血を吐いた黒髭は導火線の火を自分で消して、親指を立てた。

「やるな……お前……地獄でまた……会おうな」 

 黒髭は海へと身を投げた。

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