第31話

 楠田先生は無言でカリカリと襖へ書いていった。

 それは、台風が中心になって方々へ海賊船が散らばるような図になった。


「うん?」

 俺はただひたすら唸る。


「先生! 質問です!」

 立夏ちゃんが挙手した。


「ああ。いいよ」

「先生の図では、真ん中にも海賊船がたくさん集まっています。それでは陽動作戦の意味がありません!」

 立夏ちゃんは鋭い。

「うん。そうだね。その通りだね」


 カリカリ。カリカリ。


「よしっと。これでいいんだ」

 楠田先生は手についたチョークの白い粉をパンパンと叩いた。


「う! ピキーン!!」


 真ん中の海賊船は……そうか! 全部が大型の海賊船だ!

 そうだ! クラスのみんなを助けるため小型船だけ蹴散らそうということだ!

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