第6話
確か……うーん……。
そうだ!
俺はそそくさと目を逸らした。
「おいおい。風ノ助くん。君が持っていた教科書のお蔭で今週の予定だった修学旅行がタイムスリップになってしまったんだぞ。こっちの方が旅行よりも危険だろうけど、勉強もしないといけない」
楠田先生は古い教科書をみんなの前で、開いて大きな声でミーティングを始めた。
「風ノ助くんは、もちろん知ってるだろうけど、この教科書には間違いだらけの歴史が書かれているんだ。1567年に生まれた伊達政宗は、確か死去したのは寛永13年(1636年)なんだ……だけど、君たちは知っているだろうか?
今は1661年なんだ……」
「だー!! 何も思い出せん!! あ! 先生! これが異世界転生ってやつですか?! クラスのみんなはどうなって?? うん??」
俺は混乱した頭で挙手していた。
「こほん! この時代は何か変なんだ」
スルーされた……でも確かに、俺も胸騒ぎがするぜ。
なんていうか、違う歴史にいて、それが命そのものに危険な気がするんだ。
「政宗さまー! ミーチング? よりも、海よりきゃつらが来ましたぞー!」
「政宗さまー!」
「撃ってきましたー!」
廊下から重臣たちの声。
やっぱ、俺が伊達政宗かー!!
「ハハッ。さあ、行っておいで。風ノ助くん……いや、伊達政宗」
楠田先生……からのファイト。……でもなんか正直、心強いや。
先生は若い頃から剣術で全国大会優勝者なんだよな。
俺も先生の試合を見たが、まさに神。
それも一方的で相手が逃げ出したくなるほど強いんだ。
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