第5話

「風ノ助くん。内山くん。さあ、こっちでミーティングやるぞー」


 楠田先生は俺たちを大広間に案内してくれた。

 廊下をスタスタと歩く楠田先生の後ろ姿を見ていると、なんだか先生は何でも知っている風だった。


 俺は何故か豊子ちゃんの髪型を見つめた。

 いつものセミロングだけど……どこかおかしいと思ったら、お姫様みたいなかんざしがついているぞ?!


 軽い眩暈を覚えて、大広間に入るとそこには真ん中にポツンと座っている女の子がいた。

 学園で一番の人気を誇る秋華しゅうか 立夏りっかちゃんじゃないか?!

 

 嬉しい! 嬉しい! もう死んでもいいくらいに! ……隣にいる男さえいなければ……。


 立夏ちゃんの隣には、奴がいた。

 クラス一の問題児。

 そして学園一の不良だ。


 隣の学校で不良同士の喧嘩で相手の顎を超パンチで砕いてしまったとか、焼きそばパンを神速で盗んで屋上でタバコを吹かしながら食べていたりとか、悪行三昧だ。


 でも、確か情にはとても弱いと言われているんだ。

 俺はクラスでも目を合わせたこともないけど、不良なのは学園ではみんな知っているんだ。

 

 あれ?

 名前? なんていったっけ?

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