第3話「見たい!知りたい!集合無意識!」(2)

呆気にとられていた。まずこの投稿を今思い出した。何の気はなかった、気が利いてる、ぐらいの事は思ってはいた、しかし専任理由(なんのだ?)と言っている。するとパソコンの画面が柔らかくなったように(?)真ん中から「穴」が現れ、それが三角フラスコを逆にしたような形で大きく広がり目の前に「トンネル(?)」が現れた。人が通れる。


「ちょっ。え?こ。ここに入ればいいんですね?」同意しようと思った時に思い浮かべたのは見てきたアニメの同様の場面だった。こういう時は大抵その人間が動かなければ「悲惨な事故」が起きる。怪獣の件で「自分に逃げ場がない」というのも分かっていた。


「体をここに入れろ。」少し歳をとった初老の人の声だった。言う通りにした。


大量の炭酸水を一瞬で潜り抜けるような感触が少ししたらすぐに地面らしきところに落ちた。声から予想したような人物が立ってこちらを見ている。


「初めまして。これから長くなるな。」「・・・・はあ。そうですか。」


「あー・・・・。え、すいません。長くなる、んですか?」「そうだ。嫌か?」

「まあ・・・。死ななければ。どれぐらい、死ぬかもしれないんですか?」

「地球の軍隊ぐらいかな。今は説明しないが敵が未知だからな。」「未知・・・なんですか。」


「気兼ねする事を言うんだが・・・私や敵の説明の全てをしている時間が無い。まずはあの怪獣を倒す。君には巨大なロボットに乗ってもらう。」「そうなんですか・・・すいません、要するに戦闘機のような技術は要らないんですね?」「そうだ。せいぜい、少し難しいテレビゲームぐらいだ。」「それは魔法なんですか?それとも化学なんですか?」「我々はその2つに区別をつけない。」「はあ・・・専門知識は必要だけど今回のケースではまだそこまで知らなくていいと?」「そうなる。」


「2つ聞きたいです。」「いいぞ。」「まず、そのロボットはこれから作るのか?次に、敵はなぜ集合無意識を取り扱ったのか?」「ロボットはこれから作る。」「やっぱり。」「意外だな。反抗するかと思った。」「そういうアニメがあったんです。」「ほう。」「作ってる過程は省くっていうのか・・・ごまかすみたいな。」「アニメと同じと考えたのか。」「集合無意識の件で。要は魔法でしょ?そちらでは区別をつけないそうですが。」「その通りだ。アニメの事は重大だから近いうちに話す。」「集合無意識は?」


「プロバカンダだろう」「どこで?」「無意識の一種、であるという事だろうな。何せ無意識は人間にしか存在しないし、常識という面からも大きい。」「うーん・・・・・・・。いまいち確証に思えないです。」「あと、敵の戦略の都合がある。2つパターンが考えられる。」「怪獣が正義か悪か?」「違う。怪獣が集合無意識の化身であるパターンと、今のこの状況全てが集合無意識だとするパターンだ。」「・・・・・確かにこれからを考えるとどっちもあり得ますね。」「時間が無いので要点だけを言う事になるが。」「大丈夫です。」「今回の重大な点に宇宙人の存在の隠蔽がある。」「隠すんですか?誰が?」「我々だ。」「地球人として振る舞うんですね。」「そうなる。およそ二十人ほどだが。」「え?」「ちょっと全滅してな。」「・・・・・・・はあ。そうですか。」「あまり詳しく説明してないのに物分かりがいいな。」「まあ・・・・アニメオタクだからじゃないですかね。」「そうなのか。ところで今からさっき言ったロボットを作りたいのだが。」「大丈夫ですね。」


そう言うと老人は手のひらを上にして少し力んだ。ちょっとあってから「見た事のない色」の石が空間から現れてきた。「封印時間に隠していてそこから出した」と説明された。この「封印時間」と言う概念の説明は重要で、かつ複雑なので今はメモに取っておくようにだけ言われたのでそうした。


「あの。」「なんだ。」「あのぉ・・・・・どんなロボットも作れるんですよね。」「基本的にはそうだ。」「基本的には。」「うむ。」「あーー・・・・・。あの、漫画ですらない・・・・・、自分で考えてたロボットっていうか・・・・・」「それをヒントにか。言ってみてくれ。」「あー。はい。あの。好きな哲学で5分前仮説っていうのがあって。」「私の見る限り、あの系統は嫌いそうだがなあ。」「いやいや。嫌いなのも食って。芸術家とか言うじゃないですか。んで。仮説の訳がハイポセシスって言うんですね。それが一つ。もう一つがその節にヒントを与えたオムファロスっていう概念があるんですね。そのどっちか。」「私は知識がある。神のようなロボになりそうだな。」「ちょっと強すぎるかもしれないですけど。まあ名前ですし。」


すると動きがあった。怪獣が光り出した。ゆっくりだが全身を出し始めて、その体から似たような種類の怪獣の頭部が6、7個ぐらい生え始めた。


「ああ・・・・。これ急いで作った方がいいですね。」「いや。申し訳ない。ハイポセシスとオムファロスはやめよう。」「負けますか。」「恐らく。そしてこの会議は聞かれている。まあ、想定よりはマシだ。今確認してる敵はあまり頭が良くない。」「この変化がですか。」「ああ。計画が一貫してない。だから今のままで勝てるわけでもないのだが。」「もっとうわ手があるんですね。」「ホモーニメという言葉がある。同音意義、という意味だ。」「敵と同音意義だと。」「そうなる。都度来る敵より少し強ければ最終的に勝てる。」「そうですね・・・・。何よりここが聞かれてるのが。」「その通り。」


語りながら聖司は少し笑っていた。「どうした?何がおかしい?」「あ。いや。大した事じゃないです。」「状況が状況だからな。少しでも不安要素は無くしたい。」「あー・・・。じゃあ。あの。俺たち有名になりますよねえ。」「それは状況による。TVでよくある地球を救いに来る巨人かもしれないし、国家が作った組織の兵器かもしれない。体裁はいくらでも取り繕える。」「そうすかあ・・・。いやあの。名前が。」「別に我々だけが使うものだ。」「いや。そうじゃない場合に。言いますね。あの・・・。インターネットのタチの悪い人に。ホモとかを名乗るのは・・・。なんか馬鹿にされないかというか・・・。」「馬鹿にされたくないか。」「や、それも違うんですけど・・・。一応・・・。どうせ同性愛名乗るんならゲイなんとかとか・・・。」「任せたいのだが。」「あー・・・。ゲイアニメとか。もじってゲイアニマとか。」「そのゲイアニマで行こう。」「え。は、はい・・・。そうですか。」


こうして聖司の乗るロボットは「ゲイアニマ」という名前になった。「ところで質問がある。」「はい。」「神は居ると思うか?」「あー・・・。いない派ですね。」「理由は。」「あー・・・。これも二次創作作ってた頃に思いついた台詞なんですけど。」「二次創作が好きなんだな。」「いや、今はやめてます。んで。」「神が存在してるとしたら最初にそれを見つけたやつは絶対に隠す。」「って言わせてたんですけど・・・。」「甘いな。神が従者を選ぶ可能性もある。」「あー・・・、いやいや。従者じゃない人が。もしかして。」「この話はやめよう。仮説が過ぎる。」

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