雪女とキモオタ。

帆高亜希

第1話 雪女さん、オトコに飢える

私は雪女。

口封じのため巳之吉みのきち夫婦めおとになって以来、人間のオトコと暮らすことがすっかり病みつきになってしまったの、飽きたら巳之吉みのきちの時と同じように誘導尋問すりゃあいいんだから。



「絶対に誰にも話さないと約束したのに破ったわね!?」



ひとことそう言って去っていけばいいのだもの。

人間のオトコとの間の子供を置いて出るのは後ろ髪引かれるけれど、半分人間の血が入っちゃあ、我々といるよりは人間界にいたほうが幸せだからね、しかたないわ。



巳之吉みのきちの時以来ずっとこんな感じ、山に若い男前イケメンが入って来たらわざと目撃させ、数日経ってから押し掛け女房、飽きたら・またはオトコが年くってきたら、わざとしゃべらせ破局へと持ち込み………ずーっとそうしてきたのに、ここんとこ不調。



え、なぜかって?




理由は、いろいろ…。

現代イマドキ巳之吉みのきちの時と違って山へと入ってくるのは登山が趣味のムサいオトコばかり。

私の好みは若くてきれいな顔立ちをした男前イケメン、そーゆーヤサ男って、あんま山へは入って来ないのよね〜!

もう少し下山すればキャンプが趣味の男に出逢えるのだけれど、チャラいから趣味じゃない。


ゼイタク言うなって?


しょーがないじゃない、好みってものがあるんだから!


ただでさえ現代イマドキはなかなか人が来ないのに、ここのとこ『コロナウィルス』とかいうワケわからん伝染病が人間界で流行っていて、ますます出逢えなくなってしまった…。


ああ、どこかにいいオトコはおらんかの〜?







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