アネモネ
海澤晴菜
第1話
「恥ずかしいから家帰ってから読んでね」
そう言って彼との最後の部活の日に渡された手紙。
彼は中学三年生だから一緒に帰るのも今日が最後。
いつもの別れ場所で、何か言ってくれる事を期待してた。何か言いたげにしてたから。
でもそのままバイバイして、家まで待てなかったから街灯の明かりで手紙を読んだ。
【俺は晴菜が好きだ。
初めて会ったあの日、一目惚れだった。
人見知りで、口下手で、話すのも上手くない
けど、いつも俺の話を聞いてくれて、一緒
に居ると楽しくて、皆でじゃなくて二人
で遊びたい。
来年から福井に戻ることが決まったか
ら、伝えるか悩んだ。自分勝手だとも思
う。遠距離になるけど、それでも俺は晴菜と
付き合いたい。
返事待ってます。】
読みながら涙が止まらなかった。
ふざけんな、今更そんなこと言われたって無理だよ。そう思いながら泣きながら家に帰った。
何よりも待ち望んでた言葉だったのに、連絡手段を持たない中学一年生の私には遠距離は無理だと思った。
3月まで後6ヶ月弱で、きっとデート出来るのは受験の後。
一緒に居れる時間はとても短くて、遠距離になったら益々会える日は無くなると思った。
それでも彼が大好きだったから、1ヶ月考えて、お願いしますと返事をした。
私達なら遠距離なんてどうって事ないと信じて。
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