シキサイの歌

あの日現れた白い紙

それは徐々に大きくなって

白い塊は黒を純白に染めるんだ

青も緑も染めるんだ

そうしてどんどん大きくなって

全てを白で包み込むんだ。

意味の無い話をした人は

白に取り込まれて消えるんだ。

ほとんどが白くなった世界で

その少女は現れたんだ。

塊はそれも白くしてあげようと

包み込んであげたけれど

ヘンな何かに阻まれた。

その子の左手は千切れていたけれど

残った右手に筆を持っていた。

床に転がったナメクジの

消えた半身を描いてあげると

ナメクジは這うのを再開したんだ。

白い塊は彼女を包もうと

その腕を伸ばしてみたけれど

白は色を付けられたんだ。

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