閑話1 創造神の眷属

「……言いたいことがあるなら、今のうちにどうぞ?」


 男二人の真ん中に座らされ、向かい側に座る女の言葉に、ディアルはてへっと笑った。


「………ごめんなさい。やらかしてました……」


 ディアルはソファから下りると、見事な土下座を披露した。


「おぉい。仮にも神様が眷属のオレらに土下座しちゃ、あかんくね?」


 ポンバドールでプリン頭の男ー小鳥遊たかなし奏太そうたは、ボソリと隣の男に呟いた。


「もはや、創造神としての威厳皆無だな…。御影が創造神つっても、違和感ねえ…」


 ショートマッシュの黒髪男ー高遠たかとお明生あきおは、首を振りながらそう言った。


「…うるさいよ、そこ…」


 じろりと二人を睨むのは、肩より少し長めの黒髪をゆるくハーフアップにした御影みかげ七桜ななおである。


「「黙ってます…」」


 男二人、肩を竦めてそう答えると、御影は再び視線を目の前で土下座中のディアルに向けた。


「あのね、ディー。何回も言ってるけど、神様だって間違うのはイヤってほど、理解してるのよ。だけど、それとこれとはまた別の話じゃなあい?」


「御影の仰る通りです!」


「あと、鬱陶しいから元のとこに座りなさい!」


 御影の言葉にガバッと身体を起こし、いそいそと男二人の間に戻る。


「何で戻ってきたし…」


「いや。これ、俺ら巻き込む気だろ…」


 ポツリと呟く二人を意図的に無視して、ディアルは御影を見た。


「おーい。修正終わったよーん♪次からは性別に合わせて、『聖女』か『聖者』に変わるようにできたよぉ」


 ショートボブの茶髪の女ー五月さつき夢乃ゆめのが、近くの机からディスプレイを見ながら声をかけた。


「後ねぇ。ディー君、スキルチェックも漏れてたねぇ。この双子、両方のスキル生えちゃってるもん♪」


「…両方?」


 訝しげに夢乃を御影が見る。


「見事にどっちも『勇者』と『聖女』のスキル持ってるよぉ。職業が固定職だから装備品は使えないけど、スキルはバッチリ残ってたねぇ」


 夢乃の言葉に、全員の冷めた視線がディアルに向いた。


「それはつまり、回復系も使える『勇者』と、攻撃系も使える『聖女』が誕生したということか?」


 明生の言葉に、夢乃が頷く。


「まあ、装備品の関係で、職業のスキルには威力に差が出ちゃうけどねぇ♪」


「《回復》使ったら5回復の所、装備付きだと8とかって感じ?」


「そう!そんな感じぃ♪」


 御影の言葉に明るく答える夢乃。


「あー…。とりあえず、職業とスキルのセットも固定にしてしまうか?」


「いや、してしまうか?じゃなくて、するわよ…。今から、総出で確認作業と並行しながら……」


 明生の言葉に御影が立ち上がる。


「「「並行?」」」


 首を傾げる三人に、御影は溜息をついた。


「…この世界で済んでる保証があるとでも?」


「…ねえな…」

「…ないな…」

「…ないねぇ…」


 三人は立ち上がって、移動を始める。

 移動先に机とノートパソコンらしき物が現れていく。


「私らの管轄は大丈夫だろうけど、ディアルがメインのとこは確認してくわよ…」


「……お手数をおかけします…」


 ソファで正座をする創造神。

 眷属である彼らに対し、ディアルの頭は下がりっぱなしであったーーーー。


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