第十三話『雑貨屋ロマンカートゥル』
「(ほへー、てことはまあまあな金額もろたでってことか。…おやつ買えるかな?)」クゥキュルルルルル(お腹の音)
「マスター!ヤギのミルクのシチューと白パン人数分お願い!」
「少々お待ちください。」
少女のお腹の音を聞いてか、ランカが夕食ついでにとシチューを注文した。
少女は赤面しながら薬の副効果で伸びた髪で顔を隠す。
「そういえばお嬢さんは森に棲んでいたんだよね?食べ物はどうしていたんだい?」
「錬金術師になってからは食べてないよ。作った薬を飲んでたんだ!」
「「「「「(ヤク中幼女!?)」」」」」
少女のびっくり発言にその場のほぼ全員が心配したのはまあ、言うまでもない。
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「お待たせしました、ヤギミルクのホワイトシチューと姫麦の白パンです。お嬢さんは特別にパンシチューとさせていただいております、ゆっくり、胃をびっくりさせないようにお食べください。」
「ありがとうね、マスター」
「ごゆっくり。」
一礼して去っていく
「はい、あーん!」
「(完全に赤ん坊扱い!)…」パクリ
ちなみにミローナはマスターがごゆっくりといった直後に食べ終わり、今は少女にあーんをしている。
どこぞのダイ〇ンも勝てないほどの吸引力だったと記しておく。
「(にしても、美味しいな、このシチュー。)」
市販の大量生産されているものと店のしかも大衆向けの味の濃いいシチューを比べないでほしいですよねwww
この店はよく討伐者が使用するため、メニューの味とカロリーは他の店よりも大きい値で提供されている。
現代日本人がここのご飯を5日間連続で食べれば+7キロくらいのカロリー量と言えばわかるだろうか?
…話がそれた。
「ごちそうさまでした」
ぺろりとバンカーたちと同じ量を食べた少女はミローナの胸から飛び降りる。
「よかったの?」
「ん?ああ、全然大丈夫だ。この店のメシ代は安いからな。」
「ありがとうございます。」
「ああ。ところでお嬢さんはどうするんだ?」
「街を見てから森に戻るよ。」
「そうか、何時でも訪ねてくていいからな。というか、来ないと師匠が駄々をこね始めて探しに行くかもしれん。」
「わかった、時々おじさんたちに会いに来るね。」
「ああ。」
バイバイと手を振りながら少女は救助隊一行と別れた。
ちなみにミローナとランカは少女をかすめ取ろうとしたせいで3人くらいに抑えられていたとか、いないとか。
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表通りを一通り見た少女は少し不気味な裏通りに入っていった。
「なんか面白そうな店、あるかな~」
ふんふん鼻歌を歌い、スキップで裏通りを進む少女。
明らかに目立つが、職業の効果で誰も少女に注目しなかった。
争っている横を通り過ぎ、怪しい薬を売る男のそばを通り過ぎ、街の外周に近づいた頃。
「(ん!?青色?)」
少女の視界の端に青い残滓が写った。
錬金素材を示す白とは違う色、それは、不思議な店で揺れていた。
「(ロマン売り〼、ロマンカートゥル?)」
店の名前か、建てられた看板にはそう書いてある。
少女は店に入ってみた。
扉を開くとカチンカチーンと、鈴でもなくベルでもない不思議な音が鳴る。
店内には乾燥した根っこやすり潰された実が瓶詰めされて並んでいた。
「いらっしゃい」
老婆がしわくちゃの手でほんのページをめくりながら少女を迎えた。
少女は会釈をすると店内のものを視ていく。
以降、ステータス参照
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龍の住む山にしか生えないと言われる花。
神聖力を大幅に増幅させる効果を持ち、すり潰すだけで聖水を超す神聖力貯蔵量がある。
効果
神聖力増幅10%
神聖力貯蔵120%
龍の力20%
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万薬の効果を底上げする花。
その花の根っこは効果ゆえに乱獲されることで進化し、聞くと神聖力を乱す魔言を話す。
その魔言が叫んでいるように聞こえるため叫び花とも呼ばれる。
効果
薬効強化40%
神聖力消費60%
魔力回復70%
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「え!?(な、何この植物!ほ、他のも…)」
青い残滓の売り物はすべてがレアリティBの物で、その種類は50種類ほど。
値段を見れば一つ銅貨数枚程度の安値で売られていた。
「お、おばあさん、ここのっておばあさんがとってきてるの?」
「ん?ああ、そうだよ。」
「そうなんだ…すごいね!(鑑定するか)」
以降、ステータス参照
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名前 ミルフィユ
年齢 103
性別 女性
職業 ハーフエルフバッグパッカーLV5
称号 世界を旅する者LV0
ロマンを売る者LV1
スキル 気配遮断LV6
異次元格納庫LV3
肉体自衛LV10
聖水魔法LV7
所有物 各種錬金素材
所持金 71023823
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「(ハーフエルフやないか―い)」
「!?…バレた?」
「え?」
「鑑定か何か知らないけど、バレたならいいか。子供だし。」
ミルフィユはそういうとぶつぶつと何かを唱える。
老婆の外見がドロッと解け、若く美しい緑髪の美女になった。
「貴女、何者?普通の子供じゃないわよね?」
「ボクは錬金術師」
「レンキンジュツシ?」
「っと、そんなことよりも、このお店に売ってるのってお姉さんが取ってきたんでしょ?どこで取ってきたの?」
「そんなことって…てか、私が商売品の仕入れ先をバラす馬鹿に見えるってのかい?」
「???」
「…。教えられないけど、金さえ払ってくれればいつでも売るよ。」
「…わかった。じゃあね…」
と、気になっていたものを数個づつ買い取り、ストレージに突っ込んでいく。
なお、所持金はゼロに戻った。
「じゃあ、また来ます!」
「はいよ、じゃ。」
いぶかしげに見ながらも少女に手を振るミルフィユ。
この時点ではまだ、ミルフィユは今店にある素材を延々と取っては少女に売り、取っては売りを繰り返すとは思いもしないのであった。
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