第四話『初めてのアクセサリー(貞操帯)』

 スヤスヨ寝ていた少女はポロピンという錬金完了の音に反応してパチッと起きた。


「…できたか!」


 トテテテと熟成箱に走り寄り、パカッと開ける。

 中には黒い色の底面よりも上面が狭い、所謂台形の金属の延べ棒ができていた。

 以降、ステータス参照。


^^^^^


魔鉄『RR:A』×30(㎏)


見習い錬金術師に作られた魔鉄。

濃厚な魔力を内包している。

生成した製品に効果を付与する。


効果


魔力増強42%

強度増加78%

不変属性100%

不壊属性100%


^^^^^


「うおっしゃ!これがでが作れる!」


 体を揺らすと同時にぶんぶん揺れる髪でそのテンションの高さがうかがえる。


「(よく異世界に行くものを作れる系チートの小説とかあるけど、なんで最速で作るべき貞操帯を作らないんだろうなって思うよなぁ…)」


 以降、ワールズブッグ参照


^^^^^


金属の貞操帯


錬金術により作ることのできる貞操帯。

施錠者並びに装備者の魔力並びに気力が、

尽きるまで二者以外から外すことはできない。

装備時、防御力が微上昇する。

制作方法はp10236参照。


^^^^^


「それはともかく制作制作♪」


 気力絶縁炉により高温に熱した魔鉄を錬金釜に備え付けのミトンでがっしりつかみ、放り込む。


^^^^^


生成可能 金属の武器類

     金属の装備類

     金属のアクセサリー類

     金具類


生成不可 特殊金属関係


^^^^^


 今回作るのは金属のアクセサリー類の下半身部装着類の股間部装飾類の貞操帯。

 ほかにも五万と種類があるので、生成するときにおいおい紹介する。


^^^^^


金属の貞操帯1/2


錬金釜に魔力を流し込み成形しましょう

イメージは下着のティーバックです


^^^^^


「見たことないからわかんないんなァ…(とりあえず前と後ろの穴に触れないようにすればいいのかな…)」


 ムンムンと唸りながらイメージを固める少女。

 言葉で表現すると前方は膨らんでいる部分を掴むように変形させ、後ろは割れているところに食い込むように、腰を回る下着でいう紐の部分は腰骨の上の方に乗り、痛くない程度に食い込むような形だ。(想像力でカバーしてくだしぃ)

 ヌヌヌヌ、と金属が変形していき、布でできているのであれば誘っていると受け取られるような貞操帯が形作られる。

 ポロピン。


^^^^^


金属の貞操帯2/2


熟成箱の冷却で冷ましましょう

作成予定 錬金処女ヴァルケーンの貞操帯

冷却タイマー 1:00


^^^^^


「ほいさ!」


 熟成箱に成形した貞操帯を放り込み、冷却モードにして最初に作った回復ペーストのように頬杖をつきながら冷めるのを待つ。

 ポロピンという効果音と同時に熟成箱を開け、サッとかっさらうかのように貞操帯を取り出した。

 以降、ステータス参照。


^^^^^


錬金処女ヴァルケーンの貞操帯『RR:OAO』


錬金処女に作られた貞操帯

この装備品は壊れることがない

この装備品は絶大な四大力を内包している

この装備品は錬金処女にしか装備できない

魔鉄により生成された貞操帯


効果


不滅100%

不壊100%

防御力強化(股間部)-%

排泄物昇華100%


^^^^^

^^^^^


排泄物昇華


主に下着もしくは股間に装飾される、

アクセサリー類に付与される。

排泄物を装備者の魔力と気力に変え、

尿道・直腸・膣内を清潔に保つ。

%は品質に依存。


^^^^^


「できた!(早速!)装備!」


 少女はステータス欄から自分の名前の欄を選択し、装備品ウィンドウを開く。

 中央に人型が小の字で表示され、そこから伸びたバー一つ一つに装備品を付けられる。

 装備できる個数は髪の毛に左右前、左右、頂点、後方左右、後方、毛先の9個。

 耳×5・鼻×2、唇×4のピアスで16個。

 首に首輪二つで2個。

 手のそれぞれの指に指輪を二つと指の間にピアス、そして、爪にネイルで38個。

 腕輪を片腕手首に3つずつと二の腕に5つずつで16個。

 体には下着、中着×5、上着×3、乳首にピアスを3つずつで15個。

 腰にはベルトで1個。

 股間部には下着、性感帯のピアス×2で3個。

 太ももに足輪×3とすね当て、足首に足輪×2で12個。

 足には靴下×2、靴、外靴で4個。

 全身合わせて116個。


「いや、そこまで装備しねえよ!(あ、でもクリ〇リスと乳首のピアスって…なんかこう…イイね。エッチじゃん。)」


 一人にやにやしていた少女はハッと我に返るとブンブンと頭を振り、思考を安定させる。


「たぶん、貞操帯だから、股間部の下着枠で大丈夫かな…」


 貞操帯を装備品ウィンドウに入れると装備可能品の中に貞操帯が追加され、装備できる場所(股間部の下着枠)だけが薄灰色に変色した。


「ビンゴ!」


 迷わず枠にはめると一瞬で正しく貞操帯が体に装着された。

 露出されている肌は減ったはずだが…


「やっべ、犯罪臭ガガガガ…」


 外見を精査すると全裸の美少女が黒い見える寸前のティーバックを着ている状態なわけで。


「完全にロリコンホイホイになってんな…」


 否定はしない。


「ま、ええか…」


 若干あきらめた顔をして肩を落とした。


「そういや、ロックってどうすれば…?」


 ワールズブッグの貞操帯のページを見てみてもロックについての説明はなし。

 貞操帯のステータスにも表記はない。


「うむむ…?」


 首をかしげながらとりあえず着脱を繰り返してみる。

 と、何を思ったのか装備した状態のステータスウィンドウを消すと立ち上がって貞操帯を自分の手で脱いだ。


「あ、脱げるんかい」

 脱いだら脱げるだろ。

 ステータスを開けてみれば装備欄から貞操帯が消えている。

 当たり前だが、自分で脱いだり着たりもできる。


「うむむ?他の人だと脱がせないとか?」


 気になって木の枝をまたに挟んで貞操帯を脱がせてみたら普通に脱げた。

 そのまましばらく考えると面倒になったのか、


「ロック!施錠!」


 と、宣言すると同時にキリキリキリ、ガチャンと貞操帯がロックされた。


「ぷえ!?」


 ビクンと驚いて脱ごうとするも脱げない。

 ステータスウィンドウを見れば、装備バーの右斜め上に錠前のマークがついていた。


「ほほお、なるほど、じゃあ、開錠!」


 …。

 何も起きない。


「じゃあ、アンロック?」


 ガチャン、キリキリキリ、と、装備バーの施錠マークが消え、するりと脱げた。


「ほほお!もっかいロック!」


 キリキリキリ、ガチャン


「アンロック!」


 ガチャン、キリキリキリ


「ろーっく!」


 キリキリキリ、ガチャン


「アンロ―」


 ちょうどその時。


「ぐわああああああぁぁぁぁ!」


「ぴぇ!!」


 森に男性の悲鳴がこだました。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る