第二話『森の恵みと初錬金』
ステータスを確認した少女は内容に驚きつつ、ため息を一つ。
ウィンドウを消してもう一度周囲の確認をした。
すると
「(視える!これがキング〇リムゾン!)」
少女の目に映っていたのは淡く強調表示された薬草や薬実の数々。
まあ、低級な錬金術でしか使えないものな上に間近で見ないと詳細な情報はわからないのだが。
「(採ってみるか)」
少女は一番近くの小さな薬草を摘み取り、よくよく視てみる。
「(カッパー草?)」
以降、ワールズブッグ参照
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カッパー草
どの森にも生えている基本的な薬草。
錬金術以外には使用できないため、ほとんどの場合、雑草として刈り取られている。
体力・魔力・気力を回復する回復ペーストの基本材料。
最高品質のものになると他のものとは一線を画した薬効を持ち、
便利な反面、致死量が低く、調合を間違えると強い毒素を出すため注意が必要。
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「ふえーーー」
少女はワールズブッグで調べた内容を見て間抜けな声を上げる。
と、その時。
『申告、経験値が一定に達しました』
『スキル、錬金術師の弱魔眼がレベルアップしました』
『スキル内容が更新されました』
「ぷえ!?」
ワールドトークからの唐突な申告にビョグッと驚く少女。
上がった動機を押さえつけながらステータスから錬金術師の弱魔眼の詳細情報を二窓する。
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錬金術師の弱魔眼LV2
錬金術に使用できる素材を目視できる
目視した素材が半径1メートル以内にある場合、素材名を表示できる
錬金した物の名前を知ることができる
個人のステータスのスキル・称号・職業とそのレベルを目視できる
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「(なーるへろ?じゃあ、自分のステータスを見れば?)」
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名前 未収得
年齢 0
性別 女性
職業 見習い錬金術師LV1
称号 異世界の錬金術師LV-
異世界人間LV-
人体を知る者LV-
スキル 言語LVMAX
錬金術師の弱魔眼LV2
錬金術師の小工房LV1
所有物 ワールズブッグ
所持金 0
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「(ゲームっぽくてわかりやすいね!)」
ステータスを閉じてもう一度周囲を確認する。
「(うん、素材名がわかるね。)」
木々の根元にあるキノコや木に巻き付いている細い蔦などにコメントバーが伸び、その素材の名前が書かれていた。
「(カッパー草、ウッド茸、ブロンズチェリー、藪蔦…いっぱいあるなぁ)」
少女はとりあえず目に映る素材をある程度採取してインベントリに入れていく。
※インベントリはストレージの集合で、素材一つ一つを収納するセルみたいなもの。ストレージはそれを補完するファイル的な。一つしかインベントリに入れてない場合はストレージにそのまま名前が載る。(ワールズブッグが参照される)
少女はそのまま数時間、夢中で森の恵みを採取した。
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数時間後、少女は各素材が50個ずつ程でワールドトークから申告を受けていた。
『申告、職業上での経験値が一定を超えました』
『職業レベルが上昇しました』
「ほえ?」
イモをザックザック掘り起こしていた手を止めて泥だらけになった手で頬に泥をつけながら汗をぬぐう。
「そんなにやってたんだ…」
以降、ワールズブッグ参照
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職業
職業はついている職業に関係する行為を一定以上することで昇格・強化される。
しかし、職業が強化されるほどの熟練度を得るためには数十年単位での履修が必要となる。
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「(もっと時間がかかると思ったけど、称号のお陰なのかな…)」
掘り起こしかけていたイモを掘り起こし、インベントリに仕舞い、そろそろいいか。と、近くに見つけた川で体を洗う。
洗った後、川のそばでスキル。錬金術師の小工房を使用してみる。
「こんな感じかな…えい!」
少女を中心に魔力が流れ、野ざらしな中、屋根と柱、大釜と水瓶など、錬金術に必要な最低限な設備が権限する。
「おおー!すごーい!」
テンションの上がった小学生みたいな反応をしながら片っ端からいろいろ触って確かめていく。
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異世界人の錬金釜&長匙
錬金術師に必須のアイテム。
魔力、神聖力、気力、精霊力を物質化して錬金できる。
低級な錬金素材を使用し、錬金することができる。
効果
品質弱向上
錬金失敗率低下
錬金アシスト
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水瓶
錬金に使用できる純水を精霊力により生み出す水瓶。
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調合すり鉢
調合する素材を粉・ペースト状にするすり鉢。
すり棒に魔力・神聖力・気力・精霊力を通し、素材に練りこむことができる。
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熟成箱
錬金物を熟成・冷凍・反応させるための箱。
中は完全な密室状態で最大10個まで個別に保存できる。
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「なるへろなるへろ!すぐにでも錬金できるんだね!」
全裸なのに腕をまくるような仕草をした後、ワールズブッグで絞り込んでいた初級でも作れるいい効果の調薬を始める。
「まずは~普通に回復ペーストかな?」
以降、ワールズブッグ参照
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回復ペースト
カッパー草、シルバー草、弱魔イモ、純水を神聖力で錬金した体力を回復するペースト状の薬品。
10~15%体力を回復する(品質により上下する)
上級の薬品の素材にもなる。
調薬方法はp1432参照
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「調合~♪」
カッパー草をすり鉢に放り込み、魔力を込めながらジャリジャリすっていく。
ちなみに魔力や神聖力などの力は手だけならポワーと、弱々しく出せる。
ゆっくりと、しかし莫大な量を練り込みながらすられていくカッパー草は注ぎ込まれるだけ魔力を吸収していく。
すり終わったべちゃべちゃのカッパー草ペーストを錬金釜にベチャリと落とす。
「次!」
カッパー草ペーストがついているすり鉢を水瓶で洗い、次はシルバー草をすっていく。
シャリシャリとカッパー草とは違う音を出しながら、少女によって注がれる莫大な神聖力を吸い込んでいく。
すった後のシルバー草は緑と銀色から金と緑いろを混ぜたような色になった。
「な、なんかおかしくね?ま、いいや次!」
同じようにすり鉢を洗った後、弱魔イモを皮付きのまますり棒でバシバシたたく。
叩きながら魔力を注ぎ、イモに内包されている水分でイモがボロボロになるまでたたく!
「こんなもんかな~」
魔力により水分を飛ばされたイモを錬金釜に放り込み、純水を注ぐ。
錬金匙4杯分純水を入れた後、釜に備え付けられた台の上に乗ると、ウィンドウが出現した。
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作成可能 回復ペースト
作成不可 なし
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「これが錬金アシストってやつかな?」
少女は回復ペーストを選択し、YESを押す。
ウィンドウの内容が変わった。
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回復ペースト 1/4
錬金釜に魔力を注ぎ、加熱してください。
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「ほいよ!」
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回復ペースト 2/4
錬金釜を匙でゆっくりとかき混ぜてください。
タイマー 5:00
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「よいさ!」
カチャカチャと錬金匙を小さな手で振るう。
素材が混ぜ込まれていくのが目に見えてわかり、少女のテンションが上がっていく。
ポロピンと完了したことがわかり、ウィンドウの内容が変わる。
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回復ペースト 3/4
錬金釜への魔力注入を止め、神聖力を注いでください
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「えいや!」
ボワ~と、白い水溶液のような錬金物が黄色く光りだし、水分が蒸発していく。
ポロピンと音が鳴るころには錬金物はペースト状になっていた。
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回復ペースト 4/4
熟成箱に錬金物を移動して寝かせてください
タイマー 15:00
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「よし!」
トテテテと錬金釜から熟成箱に錬金物を移動して音が鳴るまで熟成箱をジッと見る。
ポロピンとなると同時にパッと箱を開け、回復ペーストを取り出す。
以降、詳細情報。
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回復ペースト×10
見習い錬金術師に作られた回復ペースト。
必要以上の力が込められている。
体力と魔力を回復する。
効果
不明
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「おおおお!」
初めて錬金したことでハイテンションになった少女は若干狂喜乱舞しながら他に目をつけていた錬金物を片っ端から作っていった。
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