第5話 ゴブリン蹂躙【※残虐描写あり】
数十メートル先からワラワラと何かが近づいて来るのが見えた。よくよく見渡すと、なんと四方八方囲まれている!
「ア、ア、ア、アスカさん!?」
「うむ、どうやら囲まれておるようじゃの。お主がギャアギャア騒いだせいだろう」
それらがジリジリと包囲を狭め近づいて来るとその正体がはっきりとしてきた。
「ゴ、ゴ、ゴブリン!?」
「うむ、この辺りを縄張りにして、狩りをしていたのであろうな」
初めて見る異世界の魔物に驚きよりも死の恐怖を感じ、足はガクガクするし、俺のアソコもキュンてなってしまった。
これが狩られるモノの気持ちなのか!?
対してアスカは怯える様子も無く呑気なことを言っている。
ゴブリン達は思い思いの武器を構えて舌なめずりしながら近付いてきている。
「ど、ど、ど、どうすんだアスカ!?」
俺は震える声を抑えきれずに完全に逃げ腰だ。やっぱり異世界こえぇぇぇっ!
「……アスカ様と呼ぶのだ。助けてやらんぞ」
「ひっ、そんなこと云ってる場合じゃ!? ……た、助けて下さいアスカ様!!!」
落ち着いてるって事はきっとアスカには秘策があるに違いない!
俺はアスカの後ろに隠れて首だけ出して震えるしかなかった。
そうこうしている内に奇怪な容姿をしたボロボロな腰布一枚のゴブリン共が恐ろしい顔で一斉に詰め寄ってきた!
「き、き、きたぁぁぁぁぁぁぁ、ア、ア、ア? アスカ……ちゃん??」
頼りのアスカはといえば、地面に両手を付いて…………謝罪!? をしているだと!? な!? ばかな!?
ゴブリン相手に謝罪が通用するわけがねぇぇぇっ!?!?
これがアスカの秘策だったとは……。
俺は天を仰ぎこの後訪れるであろう
……が俺も
上手くいけばアスカだけでも逃げる事ができるかもしれない。
……じゃあなアスカ。短い間だったが楽しかったぜ……。
俺は覚悟を決めて腰のバスタオルを上空に投げ捨て、一瞬ゴブリン達の目を上に引き付けると前方のゴブリンの一番厚い部分に特攻をかけた。
さらば短かった異世界生活……あと……殺される前にこれだけは言いたい……。
「アスカの馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「踊れ! ダートスネイク!!!」
はへっ!? 俺の絶叫と後方からのアスカの
それと同時、アスカを中心に深紅の魔法陣が地上にブワンと広がったと思ったら
その範囲は広くゴブリン達全てを範囲内に収めていた。
慌てるゴブリン達は危険を察知して円の外に逃れようとするが時既に遅し。
魔法陣からは俺の首程もある土色の蛇が無数出現。
ヌルリと首をもたげゴブリン達の逃走を妨げていた。
俺はその光景に只々唖然とするばかりだった。
「……おいおい雨上がりのタケノコじゃねーんだぞ!?」
その数はゴブリンの数を優に上回る。
「は、ははは……こ、これは、アスカの、魔法なのか? す、すげぇ……」
俺はあまりの驚愕と恐怖で腰が抜けてしまった。
土色の蛇達はターゲットをそれぞれロックオンすると、首だけを出したままゴブリンの足元にスーッと近付いた。
ゴブリン達は自らに迫る蛇に身構えると、蛇の頭に向け棍棒や石斧をやみくもに叩き付けた。が、どの蛇も予想していたかのようにヌルッと地面に姿を消す。
奴等は慌てて周りを探すが蛇一匹見当たらず、幻覚を見させられたと勘違いしたのか、俺達の方を再びギラリと睨み付けた。
「ひっ!! アスカ!? まさかアレ幻覚じゃないよな!?」
俺は焦ってアスカの方を振り向いて言った。
「まあ見てるがよいのだ」
アスカは余裕の表情だ。ゴブリン達が俺達に向き直り、先程よりもさらに激オコで迫ろうとした……その時だ。
ゴブリン達の足元から音も無くヌルリと蛇達が顔を出す。
再び俺達を狩ろうと舌なめずりしているゴブリン達はソレに全く気付いていなかった……。
それからはもう阿鼻叫喚であった。
一匹の蛇がゴブリンのアソコに噛み付くと他の蛇も次々とゴブリンのアソコに噛み付き始めた。
グギャッ! ギョエッ! ギョギョギョッ! アンギャッ! ピギャーッ!
魔法陣内のそこかしこでゴブリン達の断末魔が響き渡る。
その
中には尻尾を生やして走り回っている奴もいて、見ようによっては酔っぱらって、はしゃぎ回って宴会をしてる様に見えなくもない……。
なんか楽しそうだ。
「ア、アスカ……こ、これは!?」
「ふっふっふ、どうだ我の魔法は! 可愛いじゃろう我がダートスネイクは」
俺は青ざめながらアソコを押さえ、哀れゴブリン達を見守るしかなかった。
「いや、というか……さすがに同じオスとして同情する……」
「我の
アスカこわっ! アスカのその不気味な笑いに俺の顔は引きつっていた。
さっきのアスカを守ろうとした俺の男気は全く無駄だったとこの時気付いた……。
ゴブリン達の哀れな踊りはそう長くは続かず、一匹そして二匹三匹と次々に泡を吹きながら倒れていった。
俺はそのあまりの凄惨なシーンに吐き気に襲われた。
そして最後の一匹が絶叫しながら倒れるのを確認したアスカは、おもむろにゴブリンの一匹に近付き木製のトングの様なもので何かを回収している。
ダートスネイクはいつの間にか全て消えていた。
「……ア、アスカ? ななな、何してんだ?」
俺はまさかとは思うが一応念の為震える声で聞いてみた。
「何ってお主、見れば分かろう、タマ拾いじゃ。見たいのか? ほれほれ」
アスカはそう言うとそのグロイやつを俺の鼻先に近付けてほれほれと押し付けてきた。
そのあまりのグロさにまたしても吐き気が押し寄せてくる。
「ぐはっ、や、やめろ! キモッ! クサッ! アッ! クサッ!」
「ほれほれ、
「や、やめ……ロロロロロロロロロ」
「わっ!! こら、汚い、吐くんでないっ!」
その後俺は膝を抱えて座り、死んだ目で遠くの山々を眺めながら、元の世界に帰りたいと切に願っていた……。
その内に足音が聞こえてアスカが帰ってきた。
「あぁ……アスカ……栗拾いは終わったのか?」
俺は死んだ目で問いかける。
「栗拾い? 何じゃそれは。ほれ大量なのだ! 見るか?」
アスカは腰に
「いやいやいや! 見ない見ないっ! ……てかそんな小さい革袋によく全部入ったな?」
俺は堪らず正気に戻り、アスカを止めた。しかしどう少なく見積もってもゴブリンは二十匹以上はいたはずだ。
つまり掛ける2でアレが四十個以上はあるはずだ。
想像したくはないのだが……。どう見ても容量が足りない。
「これか? これはアイテム収納袋じゃ。便利だぞ?」
「つっ! アイテム袋だと!?」
と俺が夢のアイテムに目を輝かせて物欲しそうにしていると、
「やらんぞ?」
「一つ余ってたりしないか?」
異世界の便利アイテムといえば、定番中の定番がアイテム収納の魔道具だ。
それがあれば重い荷物を持つ苦労から解消され、冒険者や商人に大人気なアイテム。
「……ないっ」
「今、間があったよね!? 頼む、分けてくれ! いや、貸して下さい! アスカ様! お代官様!」
俺の必死のお願いにアスカは根負けしたのか、アイテム袋にトングを突っ込んでゴソゴソとしだした。
「おぉ! アスカ様、どうか哀れな下僕にお恵みを……」
「ほれ」
袋から出したのは……そう、アレでした……。
俺の差し出した両手にはホカホカのアレが二コもありました。
「うわっ、うわっ、うわぁぁぁぁぁぁぁ♂×♂△□#!!!」
俺はあまりのグロさに絶叫しながら、ソレを力の限り遠くへと投げ捨てた!
「ひゃ、ひゃ、ひゃ、ひゃ、うひゃ、うひゃ、ひっ、ひっ、ゲホッゲホッ、ひぃぃ、はっ、はっ、ゲホッゲホッ!」
アスカは俺の反応が余程ツボに入ったらしく、まるで子供のように顔をくしゃくしゃにして涙を流しながら大爆笑しては、むせてを繰り返していた。
俺はといえばアスカのそんな無邪気に笑う姿に何故か怒る気が消え失せて、俺もいつの間にか泣きながらアスカと一緒に日が暮れるまで馬鹿みたいに笑い続けていた。
異世界もまんざら悪くない
※最後まで読んでいただきましてありがとうございます。
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