第3話

俺はフェンスに寄りかかっていた。

放課後。

夕日が俺の顔を赤く染めていた。

そんな俺に声をかけてきたのは意外な人物だった。


俺なんかと、あいまみえることすら許されないカーストトップの女。学園のマドンナ、

橘ヒナタ。

日本を代表する財閥の令嬢だった。


父親の会社が民事再生法を適用して

ニュースになったばかり。


貧乏になった俺に。持ち家を追い出されてボロいアパート暮らしになってしまった俺に、


一体全体話しかけて来るなんてどうかしてるよ。


「黄昏...オッサンくさいか、、

まぁ、なんとでも言ってくれ。それにしても

よく俺の名前を知っていたな...」


「知ってるもなにも。

だって山吹くん、学年一位じゃない?

名前、有名だよ。将来は東大に行く予定なんでしょ?」


「それなんだけど。その夢は儚く散ったよ。

知ってるんだろ?ニュースになった。

俺の父さんの会社が倒産したの。

大学進学するための経済的余裕なんてなくなった。俺はさ、どっか一般企業に就職するよ。別にもういいんだ。医者になる夢は諦めた。俺はどこか、使ってくれるところ、、

福利厚生がしっかりしてて、安定しているところならどこでもいいや...」




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