顔のそっくりな双子の姉弟カレンとミコトの航宙軍士官学校物語
@kana_01
第1話 プロローグ
カレン青山。目が大きくとても可愛い十八才の女の子。ミコト青山、姉のカレンにそっくりな可愛い?男の子。
双子の姉弟として生まれた。一卵性双生児ゆえに親も分らないくらいそっくりだ。違いは二人だけの秘密。そっくりな二人だが顔は女の子。ミコトは普通にしているとカレンと間違われてしまうくらい。
そんな二人が誰もが驚く能力でフレイシア星系航宙軍のトップパイロットとして成長し、活躍する姿を描きます。
この物語は、二人が生まれた時と十八才になってフレイシア航宙軍士官学校の入学試験のところから始まります。
星系については物語の中で順次説明が出て来ます。
―――――
ここは首都星ランクルトにあるランクルト第一総合病院産婦人科病棟。
「青山さん、生まれました」
ナースの声に急いで新生児室に行くと足首に巻かれたテープに青山ベビーと書かれた赤ちゃんが二人いた。
「カノン、私たちの子供はどちらだ」
新生児室の窓ガラスの外で立っている妻のカノンに聞くと
「二人とも私たちの子供です」
「えっ、女の子か男の子か」
「いえ、両方です」
「両方だって、双子で女の子と男の子。まさか?!」
「そのまさかです」
「えーっ!」
驚きのあまりつい大きな声をだすと
「静かにして下さい。ここは病院ですよ」
ナースの声に少ししゅんとすると小声で
「先に生まれたのはどっちだ」
「女の子です」
「そうか」
見ているとだんだん嬉しくなって目元が緩んできた。
二人が生まれてから十八年の時が過ぎ
「ミコト、早く」
「待てよ、カレン。カレンは足が速すぎる」
「ミコトが遅いだけ」
「もう、ふーっ、やっと着いた」
「うわあ、いっぱいいるな」
「当たり前でしょ。競争率二五倍の難関、フレイシア航宙軍士官学校の試験初日よ。さあ行きましょう」
第一次は筆記、ここで応募者二〇〇〇人から一〇〇〇名に振り落とされる。そして第二次実技、ここで更に五〇〇名に絞られ、第三次で口頭試問で二〇〇名。カレンとミコトは、三次試験までをトップでパスしてきた。
そして今日は、二人の最終試験の日だった。
「カレン、どう自信ある」
「ミコト、何いって言ってるの。やるしかないでしょう。自信持ちなさい」
「自信って言ったって。面接だけだろ。何を自信持てば良いのか。カレンはいいよな、その顔で面接官ににこっとすれば受かるだろうから」
「訳ないでしょ」
カレンは、ミコトの言うとおりとても可愛い女の子だった。
航宙軍士官学校に応募する為に、ショートカットにして少しボーイッシュしたとはいえ、切れ長の大きな目、すっと通った鼻筋に口紅もつけないのにピンク色の潤った唇。どう見ても可愛い。
それに引き換えミコトはそれが裏目に出た。男の子である。
どう見ても女の子が男の子だ。なにもしなければ一卵性双生児のカレンとミコトはそっくり。
親でも見分けつかないが、二人だけが知っている違うところがある。それは二人の秘密だが。
「さっ、行くよミコト」
「カレンちょっと待って、まだ息が」
「そんなんじゃパイロットなれないよー!」
顔一杯に笑顔を見せながらカレンは、ミコトの手を引いて早足で歩いた。今日の洋服で唯一違うのはカレンがスカート、ミコトがスラックスという以外は、いつものように見分けが付かない。
面接の廊下で
「カレン青山さん、ミコト青山さん、サキ安西さん」
「「はーい」」
名前を呼んだ面接官が二人を見てえっという顔をしている。
「カレンさんはどちら」
「私です」
ミコトの左側に立つカレンが微笑んだ。
面接官は一瞬顔を赤くするとこちらへと言って三人を部屋に入れた。
三人の前に五人の面接官がテーブルの前に座っていた。一瞬、全員が目を丸くする。
「うふぉん、カレン青山さんは」
「はーい」
カレンが手を上げて言うと
「手は上げなくていい」
フレームの太いめがねを掛けた中年のおじさんが睨んだ。
「では、君がミコト青山君、そしてその隣がサキ安西さんだね」
優しそうな目で言う少し素敵な男性につい二人で
「はーい」
ミコトも言ってしまった。
他の三人の面接官は、顔を合わせながら声を出して笑っている。
カレンとミコトはどんな質問が来るのかひやひやしながら待っていると質問内容は、家庭の事、友人の事、アカデミーでの事など他愛無い内容ばかりであった。
少しがっかりしているとさっき優しい顔をした素敵な男性が、
「つまらなそうだね。もっと凄い質問でされると思ったの」
自分たちの心が見透かされたようにカレンとミコトは顔を赤くすると
「最後の質問だ。君たちはなぜ、航宙軍士官学校を希望したのかね」
聞かれるや否やカレンとミコトは、同時に
「「はい、フレイシア星系トップの航宙戦闘機乗りになりたからです」」
ハーモニーのように歌うように二人で言うと素敵な男性や他の四人の面接官が微笑むようにした後、素敵な男性が他の面接官を見てにこっとした。
「カレン、だめだったのかな。何か馬鹿にされたような。相手にされていないような。まあカレンは大丈夫だろうけど」
「なに言ってんの。どっちもどっちよ。それにミコトは男の子だけど私は女の子。難しいという意味では同じよ」
そう言いながらランクルト第一ステーションに向う自走エアカーの中で話していた。
やがて、ステーションに着くと
「ミコト、少し時間あるからあそこでスカッシュ飲もう」
「うん」
「どうでした。後藤教官」
「予想通りと言うか。想像以上だった」
「そうですか。アカデミーでの成績。三次試験までの成績。それにあの同期。我々がもう直ぐ開発が終わるあれに乗せるには、ピッタリの材料、いや候補生だ」
サングラスを掛けた男は、唇を曲げた。
「ただ今、お母さん。帰ったよ」
「お帰りなさい。どうでした」
「うーん、分らない。なんか面接というより世間話のような感じだった」
「そう。もう直ぐ夕飯になるから二人とも手を洗っておきなさい」
カレンとミコトはランクルト第一ステーションからエアトレイナーで三〇分の田園風景が綺麗な郊外に住んでいた。
二人の部屋は一応別れている。一二才までは一緒だったが、カレンが女性の体になり始めた頃から母親が気にして部屋を分けた。
二人はいつも一緒だったので初め抵抗したが、母親が父親に話して二人に言ったのでしぶしぶ納得した。
「うーん、カレンが髪の毛を切ったので、ますますミコトと違いが分らなくなってきた」
父親はワインを手にしながら言うと
「あなた、よく分りますよ」
「うーんそうか」
俺には分からん?
食事が終わって、リビングで二人が最新式航宙戦闘機アトラスの詳細説明書を読みながら
「かっこいいな。絶対パイロットになりたい」
「うん」
「ミコト、それそろ、お風呂入ろうか」
「そうしよ」
二人の時は、全く二人で一人だ。性別という意味は二人にない。
カレンは、スレンダーながらしっかりと胸は出ていて腰もしっかりと締まっている。ミコトはがっちりとした体だ。
「カレン、最近ずいぶん大きくなったな。パイロットスーツ着れるのかな?」
「大丈夫だよ。結構潰せるし」
「ふーん、そんなものか」
「ミコトはいいよね。がっちりしているし。首から下は男だから」
「あたりまえだろう。体までカレンと一緒じゃ、おれ大変だよ」
「そうね」
目を合わせて微笑むと湯面の上から出ている顔だけは、可愛い女の子が二人いるだけだ。大き目の湯船に二人で入りながら他愛無い話をしていると
「そろそろ、二人とも出なさい。お父さんが入るから」
「「はーい」」
―――――
物語が始まりました。
大体毎日十二時に投稿します。
次回をお楽しみに。
面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
ここは面白くないとか、ここはこうした方が良いとかのご指摘も待っています。
宜しくお願いします。
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