(31)違和感と心配
~セレスside~
団長と副団長、ジョゼフの話を聞いているサーヤちゃんをアタシは観察している。
最初は、特に驚かなかったわ。
それなら、なんで大声を出したのかって?
ただ、単にサーヤちゃんの反応からどういう性格なのかを知りたかっただけよ。
だいたいの反応で、相手の性格は意外にわかるもの。
あの強面の団長が子供を連れてきたときも、また家族が増えると思っただけね。
だって、この騎士団に所属しているメンバーの一部はそうやって団長たちが保護した子達だもの。
アタシもそう。
団長が精神的にボロボロだったアタシとノーヴァを見つけてくれたことで、あの糞みたいな両親やノーヴァの地獄みたいな家庭環境から離れることができた。
団長も副団長もジョゼフも、『アタシ』の事も『俺』の事をしっかりと理解してくれる。
だから、安心できる。
副団長から簡単な説明を聞いた時は、はっきり言って糞過ぎて『俺』の部分が出てしまったわね。
でも、そうでしょ?
あんな幼い子供を、あんな危険な森に一人で放置したのよ?
このことで激怒しない奴がいれば、そいつの頭はどうなっているのか逆に知りたくなるわ。
保護者については、別になることになっても特になんとも思わないわ。
アタシの年齢的に、サーヤちゃんぐらいの子供がいても特に問題はないし。
それに、観察した感じあの子は結構おとなしい部類の子でしょうね。
あの糞両親が求めていたタイプではないけれど、アタシとしては一緒にいても問題はないわね。
状況的に、なる可能性があるのはアタシかノーヴァ、副団長かジョゼフね。
団長は…………無理ね。
団長命令を使うほどだもの。
反応的に嫌いというよりは、自分と一緒にいることでサーヤちゃんに危害が加えられる事を心配しているようね。
それに、自分の血筋の事も気にしているようだし。
観察していると、サーヤちゃんは違和感の塊のような子。
子供というよりは、子供のような大人ね。
団長たちの説明もしっかりと理解しているし、かなり落ち着いている。
いや、落ち着いているというよりも不安だけど我慢しているという感じね。
この子は、ストレスを感じても耐えていつか爆発するタイプ。
彼女がこうなったのは、今までの環境が原因でしょうけど。
でも、わかったことはいくつかある。
アタシが服のことを言った後、副団長が勉強の道具のことを言った時に目を輝かせていたわ。
あの子は、服とかアクセサリーよりも知識を欲するタイプってことね。
一般のメスとしては少し心配だけど、この場にいるメンバーの子供になるのなら問題ないわ。
馬鹿な子の保護者になるほど、厄介で面倒なことはないもの。
あの子には、どんなものが似合うかしら?
着ているものが味気ない地味で動きにくい服だから、もちろん服を買うのは決定事項ね。
顔立ちも綺麗な方だし、シンプルな服の方が似合いそうね。
でも服のセンスに関してはこのメンバー的に大丈夫かしら?
アタシは、今までの経緯的にメスの服はある程度わかるから大丈夫だけれど。
団長は、今までの経験からして失礼だけれど無理そうね。
副団長は、平気ね。
ジョゼフは…………わからないわね。
ノーヴァは、論外。
幼馴染として長い間一緒にいたけれど、興味あること以外には義務的なノーヴァは服装にもまったく気を付けない。
休日でも平気で軍服を着るし、軍服にしわが寄ってもまったく気にしない。
気にしなさいと言っても、何か問題があるのかっていう始末だし。
それが礼儀なのよって言ってからは、一応気を付けるようにはしているみたいだけど。
まったく、考えていればサーヤちゃんの方がノーヴァよりもしっかりしている気がするわ。
…………まだ、たったの二十五年ぐらいしか生きていない子に負けるってどうなのよ。
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