CAIN and ABEL

 男は女をエバと名づけ、エバはカインとアベルを産んだ。カインは土を耕す者となり、アベルは羊を飼う者となった。


──────────────────


「ふぃー今日も働いたぜ。さてと今日の神様の供えもんはこれくらいでいいかな。弟は何にすんだ?」


「僕はこれだよ。さ、神様にお供えしよう」


 お、今日も持ってきたねぇ。んー、アベルのを貰おうか。


「カイン。お前のは今日は捧げなくて良いよ」


「え……な、な、ななななんでぇ!? 要らないってことは無いでしょ! こちとら汗水垂らして神様にお供えしてんのに! 今日に限ってなんで受け取ってくれないんだ!!」


「え、なに? なんで怒ってんの? 別に良くね? 別に神様だって選択の余地くらいあるでしょうよ。今日はアベルのを選んだんだ。別に理由とか無いんだけど……」


「そ、そうですか……アベル。兄ちゃんちょっと疲れてるかもしれない。気分転換に野原にでも行かないか?」


「うん。いいよー」


††††††


「ぬぅんっ!!」


「がはっ……兄ちゃん。なんで……」


「すまないな。兄ちゃんはアベルを殺さなくちゃならないんだ……天国で安らかに眠ってくれ」


††††††


 あっれぇ〜? カインとアベルまだ戻ってこねえのか? いつまで休んでるんだか……あ、戻ってきた……。


「お、戻ってきたかカイン。えーとアベルは?」


「アベルですか……? さて、私はアベルの兄ですが守り親ではないでしょう。まだ野原で遊んでいるのでは?」


《カア"ア"ア"ア"イイイイィインンン……どうじでえぇ、どうじでええぇ、ぼぐがなにをじだっでいうんだぁあああ》


 え、ええええええぇ!? アベルぅ!? んなところで何してんだお前……。


「カイン……お前まさか……。はぁ〜あ……。お前には失望したよ。どうしてアベルのこんなにも苦しむ声が聞こえるんだ……28ヶ所の刺し傷なんてどんな殺意だよ。

 お前はもういくら土を耕そうとも実を結ぶことは無い。さぁ、放浪者にでもなってこの地から去れ」


「あぁ……神様にはやっぱり隠し事は出来ねぇなぁ。でもさ、放浪者になったところで俺はどうせ身包み剥がされて殺されるだけだ」


「んや、そこは安心しろ。やったまったんもんは仕方がねぇからな。なに、カインを殺そうとする奴がいたら7倍にして復讐をうけるぜ。なんだって私は神だからな! だからお前は誰かに殺されることは無い」


「そ、そうですか……」


──────────────────


 それからカインは神の元を去り、ノドの地へと移住し、なんやかんやあってアダムが参上する。


次回、『ADAM GENEALOGY』

アダムって最初に二人目の人を生み出した人だけど、実は特筆することはそれ以外に無い。

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