虚無宙域
伯林 澪
プロローグ
──旧・
『こちらGB721、こちらGB721、どなたか応答願います……こちらGB721――』
宇宙船の船体はあちこちへこんでおり、いくつか破孔もあいていた。船体に推力を与えるはずのエンジンは、四基中三基が沈黙している。
「――応答願います……はぁ、今日もだめだよ。全天探査も限定探査も
〈GB721〉――民間宇宙船〈ポラリス7号〉の
少女の顔は見るからに
「まあまあ、明日やり直せばいいよ。ね? たまたま誰も応えなかっただけだって……ほら、晩御飯食べよ?」
もう片方の少女が、自分に言い聞かせるように、
彼女らがこの探査作業をはじめてかれこれ一ヵ月――頼るべき大人たちは全員、二号エンジン・ルームの爆発事故で死亡し、あとには彼女ら二人だけが残されていたのである。
――かくして〝食事〟をおえた彼女らは、死んだような静寂にかえった船内で、無意味と知りつつ考える。
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