第62話 レイ、過去編③

「先輩、半人半神でも眠くなるんですからね?むしろなんでそんな起きてられるんですかー!」


「社畜根性なめんな、天才でも神でも負けられないからな」


「もう50時間も起きてますよね……?」


「そんなことよりあれやってくれ、頼む」


「いいですけど……そろそろ先輩危ないと思いますけど?」


 詠唱、発現、行使

 魔術の根本を覆す魔術、そのヒントがもう少しで掴めそうな気がしていた。


「強制多重詠唱なんて脳を電子レンジに入れてるようなものですからね」


「加減はそっちでしてくれてるだろ?信頼してるぞ」


「……ずるいですよそれ、なんかむかついたので、えい!」


「がっあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?」


 いくつもの魔術が脳に刻まれる。

 焼印の様に、決して忘れることが無いように。


──零式


「先輩……これ……」


 目の前の森が吹き飛んでいた。


「よし……できた、出来たぞ!!」


「すごい!おめでとうございます!!」


「ララのおかげだ、ありがとう」


「そんな、私は先輩を応援したかっただけで……」


 ララの瞳、ルビーの様に美しいそれをよく見たくて顔を近づける。

 自然とキスをしていた。


「……先輩、私のことそういう対象として見ていないと思っていました。どんなにアピールしても気づかないんですもん」


「いや、勘違いだったら恥ずかし過ぎるだろ」


「男なんですから当たって砕けろで来てくださいよ」


「いや、それに年も離れてるし……」


「年?でも今は一緒ですよ?少し子供ですけど」


「……だな」



◇ ◇ ◇



 それからララとの生活が始まった。


 お互い10歳(精神年齢は30歳以上)ということもあり大人の付き合いが始まる……と思っていたのだが実際は全く逆だった。


「先輩!昨日3回で終わりなんてもしかして病気ですか!?」


「普通そんなもんだろ!エロゲじゃないんだからシャワーみたいに出る訳じゃないんだよ!!」


 ララは精神年齢が影響したのか、俺は肉体年齢が影響したのか本当に毎日猿の様に盛っていた。


「あとシャワーする前に舐めるのやめてください!神様のどうなってるのかな、じゃないんですおっさんですか!?」


「ああ!?じゃあ言わせてもらうがな、出した後に神様の力で執拗に俺の後ろの穴を攻めるのやめろよ!!」


「それはいいんです可愛い先輩が見れるんですから!」


 よくねえよ、俺の男としての尊厳がなくなる。


 と、まあ騒々しくもちょっと淫らで楽しい生活を送っていた。


 だが……この時に気付くべきだったんだ。


 ララの異変に。


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