零距離射程の無能魔術師〜魔術を極めたら詐欺師と追放されたので、元奴隷少女達を裏から支えて世界最強にさせてみた〜
耳折
第1話
魔術、それは神に与えられた力。
扱う者によって、それは世界を救うことも破滅へと導くことも可能だ。
当然その力には個人差がある。
魔術詠唱が早い者
魔力が多く威力の高い者
そもそも詠唱すら必要無い者
「ではレイ・ゼロスは追放でよろしいでしょうか、王よ」
「構わない、このユースティア王国に詐欺師は不要だ」
そして……自分がわからない力を恐れ、偽物だと糾弾する者。
魔術は全てが解明されておらず、正しく理解出来ない者は少なからずいる。
「魔術師長レイ・ゼロス、魔術と称し不可思議な力で人々を惑わした貴様を追放する」
新しい魔術が生み出されていく中で、変化を恐れ迫害する者もいる。
そういった奴らには何を言っても無駄だ。
勝手にしてくれ、そう思う以外に無かった。
◇ ◇ ◇
「だが、まさか王にまでそう思われていたなんてな……」
ステーキに齧り付きながら食べながら俺、レイ・ゼロスは改めて人生を振り返っていた。
12歳でユースティア王国魔術師団に仕え、その間全てを魔術研究に費やしてきた。
そして16歳になり魔術師長の推薦を受け、順風満帆に王国を代表する魔術師になるはず……だったんだが。
「年功序列なんて古い制度だよなぁ」
魔術師長になり反感を買ったのか、20歳になったその日に新たに長に選ばれたのは最年長の魔術師、更に言うと金で地位を買ったような有名貴族無能だし、更に更に言えば指一本でボコボコにしたこともあったはずだが、もう無関係の俺にはどうでも良かった。
実力だけではのし上がれない、それがユースティア王国の現状だ。
王国に未練はない。
しかし、俺が生み出した特別な魔術を途絶えさせる訳にはいかない。
考えはある。
とは言え……またこの世界でもこんな目にあうとは。
「肉はあっちの世界の方が断然美味しかったな」
俺はいわゆる転生者だ。
月100時間残業は当たり前、36協定?ブラック企業にそんなものはない。
元々心臓が悪かったせいか、32歳のある日突然死。
そして目覚めれば異世界だった。
とは言え万事順調とはいかないもので、パン一欠片すらも食べることの出来ない貧乏な娼婦の息子として生を受けた。
不幸中の幸いか、こちらの世界の母さんは息子思いの優しい母親だった。
病に倒れ、俺が10歳になり亡くなってしまうまで魔術学園に通わせてくれたのは本当に感謝しかない。
心残りは親孝行出来なかったこと。
母さんのことを思い出すと込み上げるものがある。
「よし、帰るか」
だからこそ俺の生きた証を残したい。
明日からは忙しくなる。
家に帰って準備しないとな。
───────────────────
【あとがき】
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