青華国と水晶龍に見初められし妃たち
華楓月涼
第1話 王后ソニアの部屋で
物語は、青華国でリュートと結ばれる少し前から始まります。
前作からの主な登場人物を紹介します。
主人公 月涼(リァンリー) 西蘭国公女:本名は、鄭涼麗 リュートとソニアだけ『リア』と呼ぶ。
西蘭国では、公女として過ごしておらず、専ら皇室密偵として活躍していた為、ほぼ男装で過ごしていた。西蘭国の東宮の幼馴染でもあり、彼を守るために飲んだ毒で、月のものが来なくなった為、一生結婚せずに過ごすつもりだったが、曽祖父の善意の策略にはまり、青華国第2皇子リュートと結婚することになった。容姿の特徴としては、女性にしては長身で、はっきりした目鼻立ちに、伽羅色の髪に薄い緑の瞳だったが、青華国で次第に変化することになる。
リュート・・・青華国第2王子 月涼の夫。月涼が治療で訪れていた曽祖父の薔薇園で、月涼と出会い一目惚れして、見合いを受け入れている。性格は、穏やかで、月涼の突飛な行動もすべて受け入れる優しさを持つ。長身で切れ長の紫の瞳を持ち、鼻梁が高い。群青の長い髪を結っている。
藍・・・月涼のそば仕え。月涼の事を月『つき』と呼んでいる。面立ちは、二重の大きな目をしており、女装をすれば、女の子にしか見えない。身長は、月涼より少し高いくらいで細身、月涼と衣服をよく交換する。青華国に来てからは、王后ソニアにも可愛がられマスコット的存在になり、ペンドラムから方術のを習った後、ソニアの弟子にもなる。
ソニア・・・青華国王后 リュートの母であり、方術士。セレベス諸島王国の王女。凛とした面持ちで、切れ長で薄い紫の瞳。銀糸の長い髪に、青華蝶の額飾りをいつもしている。性格は、男勝りでセレベス艦隊を率いる女将軍でもあった。月涼を可愛がり、後継者とするために教育する。
ザンビス・・・青華国王 リュートの父。彫の深い顔立ちで、深い紫の瞳。背も高くほっそりとしているが華奢というわけではない。ソニアに頭が上がらない。
仲達・・・西蘭国東宮近衛だったが、月涼の婚儀の為に青華国滞在により、青華国の治世に興味を持ち大使に志願して青華国に移り住む。のちにフルルと・・・。
仁軌・・・西蘭国の内乱に巻き込まれ、北光国(桜花国)に移住後、将軍として活躍したが、北光国(桜花国)の内乱にも巻き込まれ青華国へ亡命予定だったが、重慶の配慮と仁軌を慕うものが北光国(桜花国)に多かった為、北光国(桜花国)の大使として青華国へ移住。桜花国の初代外交大臣を兼務する。
重慶・・・桜花国(北光国)初代国王 月涼・リュートの友。青華国の従属国の間の5年間は、青華国に入り浸って、リュートと月涼の邪魔ばかりする。
フルル・・・月涼の侍女 仲達の事が気になる。
ルーラン・・・月涼の侍女 藍に青華国語を教えている。藍の事がきになる。
ルキ、ラキ・・・月涼の侍女 主に雑用係。
ペンドラム・・・リュートの侍従頭で方術士。藍に方術を教える。
§
時は、遡り・・・重慶との取引の直後である。
月涼が部屋をコッソリ抜け出して、重慶の所へ行こうとするのをソニアが捕まえた。
「これ!どこへ行く?」
「えーーーーっとですね。そのーーー。」
「まぁよい。ついて参れ。」
ソニアに連れられて来たのは、王后ソニア自身の部屋であった。
「いずれは、其方が入るであろう部屋だ。遠慮せずとも良い。」
「え?それは、無いかと・・・。」
と口籠る月涼だった。それを見てふっと笑うソニア。
「妾もそう思っていた頃がある。義母上様に言われてな。」
不思議そうに思いながら部屋を見渡す月涼は、奥にある水晶の扉に目をやる。
「あの・・・あの不思議な扉は?」
「あれは、水晶宮へと繋がる扉だ。そこへ連れて行こうと思って直接呼びに・・・。其方、妾が行って居なかったら、抜け出して無血開城の作戦の指揮を取ろうとしたであろう・・・?」
コクリと頷いて反省する月涼。
ソニアが月涼の部屋に赴いたのは、光国無血開城の件に、夢中の月涼の気を違うことに向くようにと、リュートから頼まれたからである。丁度、ソニアとしても月涼が後継者になれるか?確かめたいことも有り、二つ返事で引き受けることにしたのだった。
「其方の体は、初めての変化で大変な時期じゃ・・・分かっておらぬのか?今は、この国で養生し、リュートとの婚儀の準備に当てねばならぬ。」
ふんふんと頷いて・・・黙って聞くしかないと諦めた月涼は、気になっていた仁軌の件を聞いてみることにした。
「王后陛下は、なぜ、仁軌さんの流転の身を?」
「妾は、方術で気の流れを見て、どのような経験をしてきたか大まかに分かることが出来るからだ。」
「方術って体を治すだけではないのですね。」
「うむ。そうだ。だが、占いの様な不確定なものではない。まだまだ分からぬ事が多かろうが・・・其方なら、直ぐに体得できるであろう。さぁ、参るぞ。」
ソニアが扉に手をかざし、月涼に近くに寄るように言った。
「こちらに来なさい。これは、扉であって扉ではない。」
月涼がソニアの出した手を取り、隣に立つと通路が現れた。その先は、すべて水晶で出来ている様で、あの神殿を思わせる。そして、二人が足を踏み入れると扉が再び現れて、ソニアの部屋との間を遮断した。
「体に変化はないか?頭痛とか出ておらぬか?」
「はい。寧ろ、心地よく思います。」
「そうか・・・それなら、水晶宮に入れそうだな。」
「はぁぁ・・・。」
「あの、娘は残念ながら、適応できなんだ・・・。」
「あの?娘?」
「顔合わせは、まだだな・・・。第一王子の妻トルテアだ。この国の王位継承は、迎える妻が王后になれる素質があるかも重要となるのだ。」
「というこうは・・・。」
「そうだ。第一王子には、王位継承できない。それに向いていない・・・。」
ソニアは、そう言うと歩を進めた。
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