幽元師はダンジョン最下層999階に生贄として追放された! 倒したモンスターの魂を喰らって最強を目指す伝説
MIZAWA
第1章 幽元師誕生
第1話 幽元師誕生
俺は夢だった冒険者になる日がやってきた。
目の前には巨大な冒険者ギルドが悠然と構えている。
ここは始まりの国と呼ばれている【自由国】だ。この自由国の周囲には無数の村と無数のダンジョンが存在している。冒険者達はダンジョンを攻略して生計を立てている。
全てのダンジョンの果てを冒険者達は見たことがない。
俺はゆっくりと扉を開いた。
中には無数の冒険者達がいた。
少年もいれば、青年もいるし、少女もいれば淑女もいる。おっさんもいればおばさんもいて、ジジイもいればババアもいる。
老若男女の彼等を見ていると、俺の心のワクワク感は落ち着かない程振動した。
冒険者達の視線を受けながら、俺は受付嬢の所に到着した。
二重で目が大きな、いわゆる美人と呼んでいい女性がこちらを見ていた。
ポニーテールの上、肩が清楚な女性を描いている。
「初めまして、わたくしマナナ受付嬢と申します。冒険者ギルドの登録は完了しておりますでしょうか」
「はい、俺はリュウフェイと言うものです。近くの村からやってきました。15歳になったので冒険者登録をしたいです」
「はい、リュウフェイさんですね、ではこの紙に1滴の血液を垂らしてください、そこの果物ナイフで少し切る事をお勧めしますわ」
「はい」
俺はゆっくりと人差し指の腹を果物ナイフで切ると血が流れた。
その血はゆっくりと紙に落ちた。
落ちた瞬間、そこから異変が生じた。
紙に俺に関してのあらゆる情報がありありと示されたではないか。
「これは世界樹の紙と呼ばれるものです。特殊な製法により血の一滴でその人の全てを暴く力がありますわ」
「それはとてつもないものですね」
「はい、ふむ、大丈夫ですね、ではこの指輪をはめてください、そうするとアイテムボックスを使用する事が出来ます。さらにステータス表もみる事が出来ますよ、後ですね、1つ問題があります」
マナナ受付嬢はこちらをじっと見つめて、にこりと微笑んでくれた。
「あなたの職業は見た事がありませんわ」
「これですか、幽元師」
「はい、その幽元師はレア職業だと思っていいでしょう、大事にするんですよ」
「あの使い方は」
「それはあなたが見つけるしかないでしょう、未登録の職業なんですからね」
「はは、そうですか」
「アイテムボックスは指輪の入ってる指を強くイメージすると空間に亀裂が生まれます、そこに入れたり出したりできますわ、指輪が外れると使用できないので、ご注意ください、それとステータス表はステータスオープンと言えば自分にしか見えないステータス版が表示されますわ、ではがんばってくださいなぁ」
「あ、はい」
「あ、それとクエストですがあちらの板にあるところで登録してください」
「はい」
俺は途方に暮れながら、ゆっくりとクエスト版の所に向かっていった。
そこには4人の男女がクエスト版を見ていた。
そして彼らはこちらに気付くと、にやりと笑って見せたのだ。
「兄ちゃん、1人で大変そうだな、ちとパーティーでも組もうぜ」
「あ、えと、俺は新人なんですけど」
「気にしねーって俺様はレイスだ」
「あら、レイス、新入り? 私はバメンよ」
「もうバメン姉さんアイテム補給は重要ですよ、あら? うちはチェロよ」
「ふぉふぉ、みんな元気じゃのう、わっしはガナージじゃ」
生かしたお兄さん風なレイスに、お姉さんのような女性のバメン、小娘でちょろちょろ動くチェロ、岩のような老人のガナージ。
4人はにかりとこちらに微笑みかけてくれた。
その時俺は彼らの事を信用してしまったんだ。
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ダンジョンへ
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「いいか、ダンジョンてのは気まぐれだ。いきなりモンスターを吐き出す、気を付けろよリュウ」
「はい、レイスさん」
俺は彼等から冒険者としての技術を色々と教わりながらダンジョンに入っている。
現在1階層で、まだモンスターと出会っていなかった。
なぜか他の冒険者とは違う道を進み、隠し扉を開いて見せたレイスさんに俺は感心しつつ。
そのまま中に入り、巨大な銅像が見えてきた。
俺は誘導されるがまま巨大な檻に入れられた。
「よし、リュウ、そこから動くなよ、そこに人がいれば、モンスターがわき続ける。それを俺様達が狩り続けるって寸法だ。もちろん材料はお前にくれてやる。俺様達からのプレゼントだ」
「あ、ありがとうございます」
冒険者にとってモンスターの材料は生活に必要なアイテムだ。
しかしその4人はにやにやと笑っていた。
「というのは嘘で、お前はここで生贄になってもらう」
「どういう事ですか」
俺は真っ青になりながらそれを問いかけていた。
「だから生贄だ。ここは隠し部屋でな、色々と調べたら1人の人間を生贄するとその部屋にいるすべての人が神クラスに進化出来るって代物だ」
「てことは、俺は死ぬってことですか」
「さぁ、死ぬんじゃねーの」
先程までの親しみを込めてお兄さん的なレイスさんではなくなっていた。
今のレイスさんはもはや怪物そのものだった。
心そのものが怪物になってしまったような感じがした。
俺は涙を流す事を堪えた。
ガキの頃から泣き虫で同じ村の幼馴染の女の子から笑われたりしたものだ。
最後の最後まで諦めねぇ、何かアクシデントが起きる。
俺はそう期待した。
「じゃあ、さいならっと」
レイスがスイッチを押した。
次の瞬間辺りを包み込む光。
輝かしい光は永遠に光続けているかに見えた。
しかしそこは1つの部屋であった。
檻など存在しない、普通の部屋であった。
目の前には小さな扉があったのでゆっくりと覗く。
すると外に平がる景色、それは草原そのものであった。
なぜダンジョンの岩のような世界から自然の世界になってしまったのか。
しかし空を見れば天井があり、太陽は魔法の光のようだった。
【魔眼を覚えました】
【疾駆を覚えました】
【経験値5倍を覚えました】
【瀕死ガードを覚えました】
【幽元師の力が解放されました】
【幽霊センサーを覚えました】
【近くに幽霊がいます】
【わたくし幽霊の声というものです。まぁゴーストの声とお呼びくださいませ】
俺はそんな声より自らの目の前に広がっている光景に絶句していた。
巨大なモンスター。それも10メートルなんてレベルじゃないし、なぜか見えたレベル1000だった。
近くにいる小さなモンスターでさえレベル300とかだ。
俺のレベルは2だぞ、叶う訳がなかった。
【残酷なお知らせです。ここは最下層999階の複雑な中の一部です。奥に進むにも、引き返すにも、あの化け物達をなんとかしないといけませんねぇ】
俺はようやく正気に戻ると。
「この声、ゴーストの声だな」
「あん? おめーは一体誰とはなしておる」
俺は絶句した。
それはいつも見てきた幽霊たち。
しかし彼らは俺には話しかける事はしなかった。
だが今半透明のそいつは、俺に向かって話しかけてきた。
それが俺の物語の開始を告げていたのだ。
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