第36話

「モンスターパレードですか…流石に協力しないとは言えないですね。でも、レッカさん大丈夫ですか?」


ようやく休めるってところだったのにモンスターパレードだからな〜。

過労で倒れるってほど疲れている訳じゃないし、まぁ大丈夫だろう。

……でも、エナジードリンク的な何かが作れそうだったら作っておこうかな。


「移動中は休ませて貰う事にするよ。行かないって選択肢は無いし」


エマ先輩に参加しますと連絡を返して直ぐに出発する。

防具が完成してたのはちょうど良かったな。


「レッカくんが魔法銃の製造で疲れているのは分かってるけど。流石にモンスターパレードってなると呼ばない訳には行かなくてね」


「モンスターパレードは自然災害の1種ですし。仕方ないですよ」


事前に察知できるものじゃないみたいだし。


「そう言って貰えると助かる。レッカくんが乗車する車はミラが運転するし。当乗車も2人以外は私しか乗らないから移動中に余計な体力を使うことにはならないはずだよ。その代わり物資がいっぱい乗ってるけど」


そっちの方が有り難い。移動中は寝てるつもりだし。


緊急事態なので、準備で忙しそうに人が動き回っている。準備を何も手伝わない俺は邪魔になるだろうし。エマ先輩にどの車に乗ればいいのか教えて貰い、先に車に乗っておくことにした。


「やっほーレッカくんにステラさん。今回はお互いに災難だったね」


自分たちが乗るバンのような車にたどり着くと、ミラ先輩が運転席でスタンバイしていた。


「ミラ先輩は出発準備手伝わないですか?」


「これからモンスターパレードが発生している町に到着するまでぶっとうしで運転するからね。運転手は荷物運びは免除なの」


数時間運転するのは確定だし。街中は舗装されてるけど。街から出ちゃえば土を押し固めた程度の道。そんな道を数時間も運転する、運転手には出来るだけ体力を消耗して欲しくないって事だろう。


「そしたら俺も何かやってるから準備を手伝って無いんですよって感じ見せといた方が良いか」


この程度のことで文句言われたくないし。


「大丈夫じゃない?レッカくんは唯一戦力として向こうから直々に要請が来てるし」


てっきり全員戦う為にモンスターパレードが起こってる町に行くんだと思ってたんだけど。…違うの?


「レッカさん。学生は基本物資を運んだり、一般人の避難誘導だったり後方支援です。戦闘に巻き込まれる可能性は有りますからある程度実力のある人で編成されてますけど」


いくら戦力になるからって流石に学生を直接戦力に使うつもりは無いのか。


「そうなんだ。勘違いしてた」


「まぁ、現地で学生自ら志願すれば普通に全線に組み込まれますけどね」


それ。学生を徴兵して戦わせるのは世間の目が厳しくなるから。あくまで学生が自分自身で戦いたいって言ったんですよ。って持っていきたいから回りくどいことしてるだけじゃん。


「じゃあなんで俺はそう言う回りくどいことをせずに直接参戦要請が来てるんですか?」


俺だって一応学生だぞ?


「その町にちょうど王都に帰還途中の国王陛下御一行様がいるみたいでね。国王陛下はともかく、来年から学園に入学予定の第7王女殿下までいるみたい。」


なんか凄いフラグがたった気がするぞ。

と言うか王女様も学園に来てたのね。

ちなみになぜ国王陛下はともかくと言う言い方をしたのかと言うと、今の国王陛下は武道スキルダンジョンLv6を攻略されていて。

拳王と呼ばれる超武闘派の国王様だからだ。

恐らくモンスターパレードに対する最大戦力として自ら戦ってるんじゃ無いだろうか?



「俺が呼ばれた理由は何となく分かりました。でも、なんでそんなピンポイントにモンスターパレードが起きちゃうですかね…」


王族がたまたま寄った街でモンスターパレードが起きる確率ってどのぐらいのものなんだろう?


「と言う訳で、うちらだけは最低限の準備が済み次第、単独で出発ってことになってるんだよ」


そんなことになってんの?


「そっちの方が前の車を気にする必要も無いし運転も楽だから、私的には有難いかな」


確かに何台もまとまって進むよりも1台の方が運転するのも楽だろう。


「やっと引き継ぎが終わったよ」


そう言いながらエマ先輩が助手席のドアを開けて助手席に座った。


「じゃあ揃ったし。出発しちゃうよー」


ミラ先輩の号令で車が走り出す。

町に着くまではゆっくり寝かしてもらおうっと思っていたのだが…。


「なんか嫌な気がするんだよな〜」


モンスターパレードだけでは済まない気がする。


マジックバックから毎度おなじみのレッサードラゴンの素材を取り出す。


そういえばハンドガンで満足しちゃってたけど。元はと言えばハンドガンはサブ。メインで使うのはサブマシンガンをって考えてたな。


「作業を始めるんですか?」


「なんかただのモンスターパレードで終わらない気がして」


「心配性ですねレッカさんは。流石にロック鳥以上の敵が出て来ることはないと思いますし、心配することないと思いますよ」


完全にフラグがたった気がする。出来るだけ準備をしておこう。



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読んでいただきありがとうございます。



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