第32話
「ちなみになんですがムスペルヘイムってどんな魔法なんですか?」
ステラさんはあー子様が使用を禁止したムスペルヘイムがどんな魔法か気になったみたいだ。
「炎神の外套はあー子様の炎を一時的に借り受け制御する儀式だけど。この借り受ける炎はあー子様からしたら飛び散った火の粉ぐらいの物なんだけど。ムスペルヘイムに使う炎はあー子様の近くで燃え盛っている炎を利用する。だから当然火力は炎神の外套と比べても段違い。神でも燃やせる火力が有る、完璧に制御できないから俺諸共燃やす、諸刃の刃な攻撃方法でも有るけど」
あー子様の加護による炎熱耐性があっても前身大火傷の重症を負うことになる。
俺以外で範囲内に存在するものは文字通り蒸発して消滅するので、加護のおかげで全身大火傷程度で済むんだけどね。
その前身大火傷も、あー子様に加護を貰ってから、心臓か脳が残っていれば死なない体になったので、少し我慢すれば元通りに治るし。
そうムスペルヘイムについて説明すると、ステラさんはドン引きしていた。
「それは誰だって使うなって言うと思います」
まぁ敵味方地形関係なく全てを蒸発させる攻撃だし。被害が大きすぎるからね。使わないで別の方法で倒す方が良いよね。
ムスペルヘイムを使ったのってシュブ=ニグラスを召喚した邪神教団をシュブ=ニグラスごと浄化した時以来使って無いし。
そのぐらいの大事じゃないと使うつもりは今のところ無い。
「ステラはそう言う意味で言ったんじゃないと思うよ?」
俺の心を読んだあー子様にそう突っ込まれてしまう。
「ムスペルヘイムは今のところ使うつもり無いし。この話は終わりにして。あー子様確認なんですけど。わざわざ、この国に忠告をしたって事は今戦争が起きてしまうとバルトゥーラ神王国が勝利するとあー子様は考えてるんですか?」
「嫌、レッカがいるんだからこの国がバルトゥーラ神王国に負けることは無いだろう」
「じゃあ俺が居なかったら?」
「バルトゥーラ神王国が勝つだろうな。スキルを使わず強くなると言う執念が凄いからな。その執念で開発された技術は最大でスキルLv8の攻撃スキルと同じぐらいの威力を出せる性能を持っている」
うへぇ。そりゃ今の状態じゃあこの国は背伸びしたって勝てないや。
Lv5のスキルを持っていれば勝ち組確定って感じだもん。この国だけじゃなくてスキルが使える国はだいたいそんな感じらしいけど。
「どうすんのこれ?今からスキルダンジョンを攻略に必死になって間に合うものなの?」
「間に合うか微妙なところだろうな。スキルダンジョンを進めるのを諦めてる者ばかりだし。生産スキルのレベル上げを優先して性能の良い武器防具を作って攻撃系のスキルのレベル上げをして貰うしか無いし。そこまでバルトゥーラ神王国が待ってくれるか」
待ってくれなさそう。それ今から何ヶ月かかるのって話だし。バルトゥーラ神王国は既に最大でLv8相当の攻撃スキルと同等の攻撃ができる技術を開発ずみ。こっちの準備が終わる前に戦争吹っ掛けて来るだろうこれ。
「だとしてもやらない訳には行かないですし。やるしか無くないですか?」
だよね。
「ひとまずステラさんの知り合いで生産系のスキルダンジョンを選んでる人から武器を渡すか」
渡す武器はとりあえず作るのに慣れたハンドガンタイプの魔法銃。生産系のスキルダンジョンを選んでるってことは魔法は使えないと思うから、弾は無属性。
俺自身もスキルダンジョンに行ってスキルのレベルを上げたいけど。数日魔法銃を作り続ける必要がありそう。エマ先輩のショットガンをもう一挺作る約束もしてるし。
ってなると鉄が足りないんだよな。鉄を買って来るのでも良いけど。飛竜の谷で採れた最高品質の物で統一したいし。
「そうしたら、今回に限り。飛竜の谷への送り迎えを私がしてあげよう転移だから一瞬だぞ」
あー子様の転移で連れて行ってくれるなら今日中に飛竜の谷に行って鉄掘って帰って来れるか。
「そしたらお願いします。ステラさんはどうしますか?」
「私は生産スキルを持っている人達にこの話をする為に学園に残ります。もちろんバルトゥーラ神王国の事には一切触れませんけど」
その方が効率良いだろうし。ステラさんは居残りと。バルトゥーラ神王国については今の段階で話すのは無用な混乱を広げるだけだから言う必要は無いだろう。
「俺はこっちの世界の知り合いまだ3人しかいないですから。ステラさんお願いします」
なんてったってこの世界に来てからまだ1週間ギリ経ってないぐらいだし。
ダンジョンばっか行って人と交流を持とうとか、して来なかったし。
「任せてください。これでも貴族令嬢ですから。交友関係は結構広いです。レッカさんが射撃訓練場で銃の威力を見せつけてるので話もスムーズに進むと思います」
俺が作った魔法銃の威力を隠さず見せつけた効果が早くも発揮されそうだ。
俺は大量に魔法銃を作れるように気合いを入れて鉄を掘ってくる必要がありそうだ。
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