第21話

「それじゃあ撃ちますね」


ステラさんは的を狙わないで、魔法銃を上に向けている。

視線誘導を試してみるつもりだろう。

一体どんな意図が有るのだろうと、視線誘導を知らない周りの学生達は興味深そうにステラさんを見ている。

真上に弾丸が飛んでいって、ステラさんが視線誘導をONにした途端、弾道が変わりステラさんが見てる的に命中した。命中した瞬間、小さな放電が起こって的が消滅した。

視線誘導も弾丸の威力も大丈夫そうかな。


「凄いですね。確実に今存在する魔法銃で最高の性能を持ってる2挺ですよ。これは」


素材からして最高レベルの物を使ってるし仕方ないだろう。


「また凄まじい物を使ってるな。それがレッサードラゴンの素材を使った魔法銃か?

それにしても完成が早過ぎないか。君たちがレッサードラゴンを討伐したのは昨日の話だろう?」


「エマ先輩じゃないですか。お久しぶりです。この魔法銃は全部自作ですからこんなに早く用意できたんですよ。ランダムスキルダンジョンで丁度良いスキルが手に入ったんで」


鍛冶師や錬金術師に頼んだら早くても3~4日はかかっただろうし、上級錬金術を手に入れたから、俺が作った方が性能も高くなるだろうし。


「なるほど。では、鍛冶師や錬金術師にレッサードラゴンの素材で魔法銃の制作を依頼するともっと性能の高いものが出来ると?」


普通に考えればそうなるよね。ほかの人達からしたら俺たちは、まだランダムスキルダンジョンLv1しか挑戦してない訳だし。

実際EXステージに挑戦して上級スキルを手に入れてる訳だけど。


「さぁ?どうでしょうね。他の方がレッサードラゴンの素材を使って作った物を見た事ないのでなんとも。ただ、ステラさんが使ってた。マシンガンタイプの魔法銃に描いてある魔法陣が限界なら、この魔法銃より性能がいい物を作るのは難しいんじゃないですか?」


上級錬金術の補正もあって、他の魔法銃に比べると相当複雑な魔法陣を描いてるから。


「レッカくんがそう言う言い方をするなら余程いいスキルが手に入ったみたいだね」


「エマ先輩になら、俺が作った魔法銃を販売しても良いですよ」


「レッサードラゴンを使った魔法銃なんて私じゃ買えないよ高すぎて、欲しいとは思うけどね」


「別にレッサードラゴンの素材を使った物以外でも作れますよ?」


エマ先輩は水属性魔法スキルダンジョンを選んだって言ってたっけな確か。


「レッカくんがそこまで言うならお願いしようかな。どれぐらいで完成するの?」


「今日はこれからランダムスキルダンジョンに向かうので帰って来て夜の間に作るので明日の朝遅くても昼頃にはお渡し出来ると思います。ちなみにどんな魔法銃にしますか?」


「水属性でショットガンタイプの魔法銃を使ってるからそれが良いんだけど大丈夫?」


作ったこと無いけど多分大丈夫だろう。

またステラさんにお願いして設計図をお願いしないといけないけど。

それにしてもショットガンタイプかどんなタイプの魔法銃を使おうか考えた時に全く候補に上がらなかったけど、以外に面白そうだよね。

ショットガンタイプの魔法銃を使う場合は近距離~中距離で戦うことになるだろうから、ある程度近接戦もできないと危ないだろうし、ランダムスキルダンジョンに挑まない限り特定のスキルに特化する事になるこの世界ではちょっと使いづらそうだけど。

1度エマ先輩がどんな戦闘をするのか見てみたいな。

今度資源ダンジョンの方に誘ってみるか?

あれなら別のスキルダンジョンを選んだ人同士でも一緒にダンジョンに入れるし。


「ショットガンタイプですね。分かりました。明日完成次第連絡します」


「分かった。楽しみにしてるよ」


エマ先輩に別れを告げてランダムスキルダンジョンに向かう。


「ステラさんショットガンの設計図を仕入れて貰って良いですか?」


「既にお願いしてあるので安心してください。それよりもレッカさんはエマ先輩を狙ってるんですか?」


「いや?俺はステラさんが居てくれればそれだけでじゅぶんだけど。どうしてそんなことに?」


「そりゃ、同じ性能とは行かなくても今までの魔法銃よりは性能のいい物をあっさり作りましょうか?って聞くから。エマ先輩みたいな人がタイプなのかなって」


周りから見るとそう言うふうに見られるのか。確かにわからなくは無いけど。


「確かに身長高いくて美人だなって思うけど。どちらかと言うと風紀委員とは仲良くしておいた方がお得かなって」


色々融通して貰えそうだし、風紀委員みたいな学校内である程度権力が有りそうなところとは仲良くしておいた方が良いだろう。


「そうなんですね。でも、美人なのは認めるんですね?」


「年上のお姉さんって感じで美しいなと思う。ステラさんはどちらかと言うと近くにいるだけで癒される感じで可愛いなって感じ。ジャンルが違うかなと」


「ちなみにどっちがどっちがタイプなんですか?」


手をグーにして電気でバチバチさせながら聞いてくる。いつの間にそんなことできるようになったんですか?


「どっちも甲乙付け難い」


「エマ先輩はまだ良いですけど。悪い女に騙されちゃダメですからね?」


お仕置されちゃうかな?と思ったけど逆に心配されることになったレッカだった。


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